舞踏になったシェイクスピア
ハードコアダンスを提唱する大橋可也 & ダンサーズは、土方巽を始祖とする暗黒舞踏直系の流れを汲み、独特な手法によってダンスシーンを疾走する異色集団だ。最新作の題材はウィリアム・シェイクスピアの最後の戯曲といわれる『テンペスト』である。
ミラノ大公の座を追われ流浪の身となったプロスペローが復讐に燃え、魔術によって嵐を発生させ、ナポリ王や弟の乗った船を難破させる──。劇聖が晩年に遺したロマンス劇と向きあい、“言葉を疑い身体を取り戻す”ことを目指す。
主人公プロスペローには批評家・音楽家の大谷能生(よしお)、妖精エアリエルには前衛家・文筆家・即興演奏家の吉田アミを配役し、“言葉・文字・声が舞台空間を交錯する”という。主人公の娘ミランダや怪物キャリバンを今津雅晴、山縣太一(チェルフィッチュ)、皆木正純ら気鋭のダンサーや俳優が複数で演じる。
異才・大橋が多彩な顔ぶれとともに巻き起こす「あらし」から何が浮かびあがるのだろうか。目が離せない。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)
11/6(金)〜11/8(日) シアターX(カイ)
問:大橋可也 & ダンサーズ03-6905-9264
http://dancehardcore.com