東京二期会《ダナエの愛》稽古場レポートvol.3

 10月2日に舞台日本初演される東京二期会《ダナエの愛》。
 こちらでは、9月18日に行われた大沼徹&佐々木典子組による第2幕の稽古の様子をご紹介します。
 (2015.9/18 都内稽古場 取材・文:編集部 Photo:M.Terashi/TokyoMDE)

スコアを手に演技指導する深作健太 Photo:M.Terashi/TokyoMDE
スコアを手に演技指導する深作健太
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

■第2幕の演出プラン・メモ
・天蓋がかけられているダナエの寝室
・ユピテルは人間の姿をしているが、かりそめの姿
・ダナエが4人の王女に連れられ婚礼の場に来る
・ダナエはそもそもミダスに一目惚れしている
・ミダスが本物のミダスとしてやってくるが、ダナエは自分が一目惚れした使者の姿をしたミダスにすでに本物のミダスを見いだしている。ダナエは、その人の本性がわかる女性。だから、ミダス本人への語りかけとして2幕は進んでいく
・ミダスは手袋をしているが、ユピテルによって外される
・ミダスがダナエに口づけすると、ダナエは黄金の像となる
・ダナエがミダスを選んだと知り、ユピテルが激怒の稲妻を落とす
・宮殿がユピテルの怒りで破壊されるが、それは全世界が破壊されるのと同じくらいの衝撃

【第2幕】

4人の王女たち Photo:M.Terashi/TokyoMDE
4人の王女たち
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

4人の王女たちがダナエの結婚式のために王冠を編んでいる。そこにミダスに扮したユピテルが現れる。
4人の王女たち「ミダス=ユピテル。ユピテル=ミダス。変身の神」
過去にユピテルと関係をもち捨てられた王女たちは、ユピテルがミダスに扮装していることを見抜く。
ユピテル(大沼徹) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ユピテル(大沼徹)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

ダナエへの愛を語るユピテルを王女たちが「欲望の神」と嘲る。
ユピテル(大沼徹)と4人の王女 Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ユピテル(大沼徹)と4人の王女
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

そこにミダスが現れる。

ユピテル「女性をつかめるのは地位・栄光だけだ。しかし、ダナエの眼差しはミダス、お前に向かっていた。ダナエだけはどうしても、ものにできなかった」

ミダス「人は人の愛を求めるものです」

ユピテル(大沼徹)ミダス(菅野敦) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ユピテル(大沼徹)ミダス(菅野敦)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

ユピテルはミダスに触れるものすべてを黄金に変える力を与えた代わりにユピテルの命令には絶対服従するという約束を思い出させる。そして、ダナエに近づくなと警告し、手袋を奪い取り立ち去る。
ユピテル(大沼徹)ミダス(菅野敦) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ユピテル(大沼徹)ミダス(菅野敦)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

王女たちがミダスの元へダナエを連れてくる。

ミダス「私はミダスです」
ダナエ「この声は・・・なんと心に染みこむ声」
ダナエはあの使者がミダスだとすぐに気づく。

ダナエ(佐々木典子)、ミダス(菅野敦) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ダナエ(佐々木典子)、ミダス(菅野敦)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

ミダス「あなたの前に立つのは、あなたを心から愛しているミダスです」
ダナエ「なんと幸福なこと。あなたはほんとうにミダスなの?」
ミダス「私が触れたものはすべて黄金に変わる。それが証拠」
ダナエ(佐々木典子)、ミダス(菅野敦) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ダナエ(佐々木典子)、ミダス(菅野敦)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

ミダスが触れるもの、赤い薔薇、ベッド、部屋、全てが黄金に変わる。

ミダス「こんな力はすぐにでも捨てたい。黄金よりも愛をもたらしたい」

ミダスがダナエに口づけすると、ダナエが黄金の像へと変わる。
ミダスは自分の愚かな力でダナエを死なせてしまったと悔やむ。

ダナエ(佐々木典子) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ダナエ(佐々木典子)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

そこにユピテルが現れ、ダナエにミダスと自分のどちらをとるか選ばせようと言う。
ダナエ(佐々木典子)、ミダス(菅野敦)、ユピテル(大沼徹) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ダナエ(佐々木典子)、ミダス(菅野敦)、ユピテル(大沼徹)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

目を覚ましたダナエ
「ミダス、愛しい人よ。私のもとへ。さらば、私の“夢”」
ダナエ(佐々木典子) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ダナエ(佐々木典子)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

怒り狂ったユピテルが稲妻を落とすと宮殿が崩壊する。
ユピテル(大沼徹) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ユピテル(大沼徹)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

■稽古を通じての感想〜ユピテル役を歌う大沼徹
 稽古を通じてどのように感じているかを尋ねたところ、開口一番「楽しいですよ!」と語る。
 演出の深作健太のことを「さすが映画監督だけあって、この先に何が起こるのか、その映像がはっきりと彼の頭のなかにあるようですね。だから、われわれは、彼がやりたいことを具現化するだけです」
 稽古中にはディスカッションする場面もあるようだが「歌手からの提案を全否定せず、いいものは取り入れようとしてくれる。もちろん、それはダメ、ということもあります」
 深作の演出意図には納得している?
「最初はわからないところもあった。けれども、いまは、彼が何をやろうとしているか、はっきりとわかり納得できている。だから、歌に集中できます」

R.シュトラウス
オペラ《ダナエの愛》全3幕 <舞台上演日本初演>
日本語字幕付き原語(ドイツ語)上演

2015年10月2日(金) 18:30 3日(土) 14:00 4日(日) 14:00 東京文化会館 大ホール

指揮:準・メルクル
演出:深作健太
装置:松井るみ
衣裳:前田文子
照明:喜多村 貴

ユピテル 小森輝彦(10/2、4)大沼 徹(10/3)
メルクール 児玉和弘(10/2、4)糸賀修平(10/3)
ポルクス 村上公太(10/2、4)高田正人(10/3)
ダナエ 林 正子(10/2、4)佐々木典子(10/3)
クサンテ 平井香織(10/2、4)佐竹由美(10/3)
ミダス 福井 敬(10/2、4)菅野 敦(10/3)
ゼメレ 山口清子(10/2、4)北村さおり(10/3)
オイローパ 澤村翔子(10/2、4)江口順子(10/3)
アルクメーネ 磯地美樹(10/2、4)塩崎めぐみ(10/3)
レダ 与田朝子(10/2、4)石井 藍(10/3)
4人の王&4人の衛兵 前川健生、鹿野浩史、杉浦隆大、松井永太郎(以上全日)

合唱: 二期会合唱団
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

S13,500 A12,500 B10,000 C¥8,000 D¥6,000 学生席¥2,000
二期会チケットセンター   
03-3796-1831 http://www.nikikai.net/

●東京二期会オペラ劇場《ダナエの愛》
http://www.nikikai.net/lineup/danae2015/

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