アジア・オーケストラ・ウィーク 2015

アジアのオーケストラ・シーンを体感


アジアほど多様で活発な文化が息づく地域もない。『アジア・オーケストラ・ウィーク』(AOW)に足を運べば、音楽文化においても、アジアが広大であることを実感できるだろう。AOWは2002年に開始されて以来、毎年アジア太平洋地域の各国からオーケストラを招いてきた。今回で14回目を迎える。今年の参加オーケストラは、中国国家交響楽団(中国)、テジョン・フィルハーモニック管弦楽団(韓国)、大阪交響楽団(日本)の3楽団。東京オペラシティ コンサートホールを舞台に、それぞれのオーケストラが持ち味を発揮する。また、10月8日には大阪響&テジョン・フィルの合同演奏会も岩手県の北上市で開催される。
中国国家交響楽団は、2002年の第1回以来2度目の出演となる中国を代表するオーケストラ。1956年に設立された中国中央楽団を母体とし、96年に中国文化部により組織された。現在の首席指揮者はミシェル・プラッソン。これまでにカラヤンやオーマンディ、小澤征爾といった名指揮者たちとの共演歴を持つ。今回の公演で指揮を務めるのは首席常任指揮者の李心草(リー・シンサオ)。京劇を基にした关峡の交響幻想曲「霸王別姫」、何占豪/陳鋼のヴァイオリン協奏曲「梁山伯と祝英台」(独奏:吕思清〔リュ・スーチン〕)といった母国の作品に加えて、R.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」を演奏する。現在の中国のオーケストラの演奏水準を知るという意味でも興味深い。
テジョン・フィルハーモニック管弦楽団も2005年に続いて2度目の登場となる。韓国の中部に位置する研究学園都市テジョン(大田)市が運営するオーケストラで、指揮は芸術監督・首席指揮者のグム・ノサン。ウィーン国立音楽大学に学び、オトマール・スイトナーに師事した経歴を持つ。ウェーバーの歌劇《オベロン》序曲、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(独奏:キム・ダミ)、チャイコフスキーの交響曲第5番というオーソドックスなプログラムを聴かせてくれる。
日本からは初登場となる大阪交響楽団が参加する。1980年創立で、2000年より大阪府堺市を本拠地とするオーケストラだ。指揮は音楽監督・首席指揮者の児玉宏。リストの交響詩「オルフェウス」、ワーグナーのファウスト序曲、ブルックナーの交響曲第9番(ノーヴァク版、1951年)の3曲による意欲的なプログラムが用意される。
アジアのオーケストラの現在をわたしたちに伝えるAOW。今年も多くの喜びと驚きをもたらしてくれるにちがいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年10月号から)

10/5(月)19:00 中国国家交響楽団
10/6(火)19:00 テジョン・フィルハーモニック管弦楽団
10/7(水)19:00 大阪交響楽団
東京オペラシティ コンサートホール

大阪響&テジョン・フィル合同演奏会
10/8(木)19:00 北上市文化交流センター さくらホール

問:日本オーケストラ連盟03-5610-7275
http://www.orchestra.or.jp