起伏に富んだ作品をソロと室内楽で雄弁に描く
東京藝術大学・同大学院で学び、第29回ヴィオッティ国際音楽コンクールで金賞を受賞、その後国内外で積極的に演奏活動を続けるピアニストの田口千晴が「ステイホームでピアノに向かう中、皆様に聴いていただきたい」(本人談)と意欲的なコンサートを開催する。
まず前半にはドビュッシーの前奏曲集第2集より「ヴィーノの門」「風変わりなラヴィーヌ将軍」「水の精(オンディーヌ)」と繊細な表現を要求される3曲、次いで「昨年の生誕250年を記念して是非弾きたい一曲」と演奏者自身が語るベートーヴェンの「熱情」、さらには高度な技巧が要求されるスクリャービンのソナタ第5番。これだけでも田口の本コンサートにかける熱意が伝わるというものだが、後半ではなんと田口の長年の盟友とも言うべき硲美穂子(ヴァイオリン)と津留崎直紀(チェロ)が加わってベートーヴェン「幽霊」トリオが演奏される。田口の多面的な魅力を味わう絶好の機会、これは聴き逃せまい。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2021年8月号より)
2021.9/5(日)14:30 王子ホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
https://www.proarte.jp
他公演
2021.8/22(日) エル・パーク仙台 6F ギャラリーホール(仙台・杜の響きコンサート022-302-3344)