メゾ・ソプラノの坂本朱(さかもと あけみ)が平成25年度下總皖一音楽賞(音楽文化発信部門)を受賞した。15日、埼玉県知事公館で授賞式が行われた。
「下總皖一音楽賞」は、「作曲家」「音楽理論家」「音楽教育家」として日本近代音楽の礎を築いた埼玉県加須市出身の偉人、下總皖一(しもおさ・かんいち)の精神を受け継ぎ、下總皖一没後50年を記念して、国内外で活躍する埼玉県ゆかりの音楽家を顕彰し、県と受賞者がタッグを組んで更なる音楽文化の活性化を図るために埼玉県が創設したもの。
坂本朱は埼玉県出身、現在はイタリアに在住。「KAMIKAZE」(三枝成彰作曲)の世界初演を果たし、今月24日(金)には、巨匠テミルカーノフ率いるサンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団とマーラーの交響曲第2番「復活」(文京シビックホール)で共演する。
■坂本 朱(メゾ・ソプラノ)
Akemi Sakamoto, mezzo soprano
東京藝術大学及び同大学院オペラ科修士課程を経て、ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院にて学ぶ。トーティ・ダル・モンテ国際声楽コンクール優勝を始め、フランシスコ・ヴィーニャス国際歌唱コンクール、プラシド・ドミンゴ国際オペラコンクール「オペラリア」等の世界的コンクールに入賞。オペラでは「ナブッコ」フェネーナ、「セヴィリアの理髪師」ロジーナ、「カルメン」のタイトルロール、「アンドレア・シェニエ」ベルシ、「運命の力」プレツィオジッラ、「イル・トロヴァトーレ」アズチェーナ、「蝶々夫人」スズキ、三枝成彰「忠臣蔵」大石主税、新国立劇場開場記念公演「建・TAKERU」倭姫、「黒船」姐さん、「鹿鳴館」大徳寺侯爵夫人季子等でその存在感を強く印象付けた。オーケストラとの共演では、テミルカーノフ/サンクトペテルブルク・フィル「アレクサンドル・ネフスキー」、ホーネック/読売日響「マーラー交響曲第3番」、「ヤナーチェク:グラゴール・ミサ」、京響&東響「シェーンベルク:グレの歌」、アシュケナージ/EUユースオーケストラ、大野和士/東京交響楽団「マーラー交響曲第2番」、ロジェストヴェンスキー/読売日響と「長崎」《日本初演》、マゼールが指揮をする全交響曲連続演奏会2010の第九、豊潤で深みのある声による歌唱は自在な表現力と圧倒的な存在感を示し好評を博す。CDはギターの福田進一氏との武満ソングス全21曲を収録した「Liberté」を2010年秋にリリース。イタリアと日本を拠点に、日本を代表する実力派メゾソプラノとして活躍。
【受賞理由】
イタリアと日本を拠点に、新国立劇場やローマ・オペラ座等でのオペラやコンサートに多数出演するほか、著名なオーケストラとも数多く共演している。
国内外での受賞歴も多く、日本を代表するメゾ・ソプラノとして高い評価を得ている。
*下總皖一
加須市出身の偉人。全国に知られた「たなばたさま」「花火」「野菊」などの童謡・唱歌をはじめ、日本各地の校歌、また合唱曲、器楽曲、協奏曲、邦楽曲など多岐にわたった作曲を行い、その数は2,000曲とも3,000曲ともいわれている。『和声学』『作曲法』などの著作で音楽理論を確立、東京藝術大学で音楽部長を務め数多くの俊英を育てるなど、「作曲家」「音楽理論家」「音楽教育家」として日本近代音楽の基礎を作った。