【CD】VIOLINable ディスカバリー vol.6/西本幸弘

 西本幸弘のシリーズ第6弾はロシアがテーマ。西本のヴァイオリンは、清潔なイントネーションと質の高い美音で、一聴して引き込まれる魅力がある。ストラヴィンスキー「イタリア組曲」の冒頭がまさにそう。たゆたうリズムにほのかな哀感を滲ませるセレナータ、ぶつける音でも美感を失わないタランテラ、上品な佇まいのガヴォット、変化に富んでノリのよいフィナーレまで、充実した出来栄えだ。プロコフィエフのソナタ第2番冒頭楽章は、印象的な主題が何度も現れるが、そのつど微細に変化して、まるで万華鏡をみているかのよう。ベートーヴェンは前半2楽章の伸びやかな歌が美しい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2021年2月号より)

【information】
CD『VIOLINable ディスカバリー vol.6/西本幸弘』

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第6番/リムスキー=コルサコフ(クライスラー編):「シェエラザード」より〈東洋の踊り〉〈アラビアの歌〉/ストラヴィンスキー(ドゥシュキン編):イタリア組曲/プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第2番

西本幸弘(ヴァイオリン)
北端祥人(ピアノ)

収録:2019年12月、仙台市宮城野区文化センターPaToNaホール(ライブ)
フォンテック
FOCD9841 ¥2700+税