東京藝大が贈る新しい音楽体験「AIベートーヴェン」

 ベートーヴェンの誕生日と言われる来たる12月16日、東京藝術大学の「藝大プロジェクト」の一環として「HAPPY BIRTHDAY BEETHOVEN!!」というイベントが同大学内各所で開催される。その中に一際目を引く「AIベートーヴェン」と銘打つ企画がある。AIにベートーヴェン?果たしてどのようなものなのか?

 いずれも現代の作曲家がAIのテクノロジーを駆使して、ベートーヴェンに絡めた新たな作品を創造するというもので、4つの作品を予定している。

大谷紀子 with 小川 類:『Beethoven Complex / ベートーヴェン・コンプレックス』
後藤 英:『AI-Beethoven in the case of For Elise』

 まずは、作曲家で東京藝大の小川類特任准教授は、東京都市大学メディア情報学部 大谷紀子教授が開発した「自動作曲システム」を用い、ベートーヴェン作品と他の作曲家の作品を組み合わせることで生成した音楽素材により作曲した。また振付にAIを活用したコンテンポラリーダンス(深澤南土実、吉田駿太朗)との共演もあわせて披露する。2つ目は東京藝大の音楽環境創造科 後藤英准教授の『ベートーヴェンが蘇り、現代の日本の女性に恋をしたらどのような「エリーゼのために」になるか』というもの。“エリーゼ”と現代女性の顔の差異をAIが分析、そのデータを「エリーゼのために」に反映し自動演奏ピアノで表現する。3つ目は名古屋芸術大学の大久保雅基先生がAIを使ってベートーヴェンが遺した手紙『ハイリゲンシュタットの遺書』をもとに、言語の構築を音楽に反映・作曲し、自動演奏ピアノとサクソフォンで演奏する。4つ目は東京藝大の先端芸術表現科の古川聖教授。マッシュアップという新しいリミックスを用い、「エリーゼのために」の素材を元にオズの魔法使いの曲を再構成、また逆にオズの魔法使いの素材から「エリーゼのために」を再構成するという映像と音楽による作品。と、ここまで説明はしてきたが、なかなか表現が難しい…。百聞は一見に如かず。ぜひ、実際に「観て聴いて」みていただきたい。

 イベントの最後には作品を手がけた5名によるパネルディスカッションが行われる。作曲におけるAIの可能性や課題を現代の作曲家、研究者がどのように捉えているのか?興味深い議論になるだろう。上記の作品およびディスカッションは、12月16日16時と19時の2回、視聴無料のオンライン演奏会という形で披露される。楽聖の記念の日に、未来に想いを馳せ“新しい音楽体験”をする。見逃せないイベントになりそうだ。

大久保雅基:『ベートーヴェンの音高による6つの歌 / Sechs Lieder von Beethoven』
古川 聖:『Beethoven meets “The Wonderful Wizard of Oz” / ベートーヴェン ミーツ オズの魔法使い』

【information】
藝大プロジェクト2020 GEIDAI BEETHOVEN 250-ベートーヴェン生誕250年記念-
HAPPY BIRTHDAY BEETHOVEN!!「AIベートーヴェン」

2020.12/16(水)16:00~、19:00~
オンライン配信 視聴無料(申し込み不要)

視聴サイトURL:http://innovation.geidai.ac.jp/

主催:東京藝術大学COI拠点 デザイニング ミュージック&サイエンス グループ
問:dms-g@ml.geidai.ac.jp


●12/14(月)18:00〜20:00 Radio Bravoに、東京藝大の小川類特任准教授、古川 聖教授がOTTAVAに出演!

出演は19時より、12月16日に配信される「AIベートーヴェン」についてお話いただきます。
OTTAVA https://ottava.jp