仲道郁代 ベートーヴェンへの道 全6回 ベートーヴェン 鍵盤の宇宙 第3回「ベートーヴェンとルター」

音楽と宗教、それぞれに変革をもたらした二人の偉人に思いを馳せる

C)Taku Miyamoto

 「ベートーヴェンと偉大な魂との対話」をテーマとし、仲道郁代が2019年にスタートさせたプロジェクト「仲道郁代 ベートーヴェンへの道」。
 毎回おもしろい切り口で各界の偉人がセレクトされているこの企画。第3回で取り上げられるのは、宗教改革で知られるマルティン・ルターだ(7月に予定されていた北斎をテーマとする第3回の延期により、テーマを繰り上げての開催)。

 ベートーヴェンの誕生より300年近く前、15世紀終わりのドイツに生まれたルターは、当時、音楽を敬虔な芸術として愛した数少ない宗教改革者だったという。今回の公演では、そんな宗教改革の中心人物と、音楽の革命児ベートーヴェンを対比させることで、「信仰と宗教」という視点から、ベートーヴェンの音楽を読み解く。

 仲道によるピアノ・ソナタ第8番「悲愴」、第9番、第14番「月光」の演奏、文筆家・文化芸術プロデューサーの浦久俊彦を迎えたトーク。これらを通じ、宗教と音楽それぞれの分野において、各人が礎のうえにいかにして変革をもたらしたのか、そして二人の偉人に通じるものは何なのかを考える。

 おそらく仲道のことなので、トークの内容を裏付けるような形で、ベートーヴェンの音楽に多くのことを語らせるに違いない。Hakuju Hallという響きの良い空間であることも嬉しい。ベートーヴェンの強く美しい音楽を楽しむ時間だけでなく、思考を巡らせるきっかけと発見がもたらされる公演となりそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2020年12月号より)

2021.1/30(土)15:00 Hakuju Hall
2020.11/21(土)発売
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 
https://www.hakujuhall.jp