アルベナ・ダナイローヴァ ヴァイオリン・リサイタル

ウィーン・フィル初の女性コンサートマスターが贈る名曲の調べ 

C)Julia Wesely

ダナイローヴァがウィーン・フィル初の女性コンマスに就任したのは2011年、そろそろ10年の区切り目も見えてきたところだ。伝統を守りながら、新時代を開く。これは口で言うほど易しいことではない。ウィーン・フィル団員はウィーン国立歌劇場の公演も同時にこなさねばならない。コンマスとなれば仕事も山積み、加えて女性初ということで言葉にしにくい難しさもたくさんあっただろう。このタフな重責を自然体にこなしつつ、ソリストとしても来日を重ね、ダナイローヴァは私たちにもすっかりおなじみのヴァイオリニストになった。その芯の強さは、ストレートな表現、馥郁たる香りを湛えた音色にもよく表れている。

今回の来日では、ヴァイオリンの歌心と技巧を幻想性やエキゾティシズムの中にたっぷりと解き放つ名曲を並べ、フィリアホール(横浜)の他、東京、名古屋、大阪でも披露する。
ベートーヴェン「春」でクラシカルな構築性を聴かせてから、チャイコフスキー「なつかしい土地の思い出」(抜粋)、骨太な中にメランコリックな情熱を奏でるショーソン「詩曲」と続け、さらにヴァイオリニストとしても活躍したヴィエニャフスキ「華麗なるポロネーズ 第2番」、クライスラー「愛の悲しみ」他、最後はダナイローヴァの故郷ブルガリアの舞曲を用いたヴラディゲロフ「ブルガリアの民族舞踊による幻想曲」で締めくくる。

ピアノは浜野与志男。東京・ロンドン・モスクワ・ライプツィヒとワールドワイドに学び活躍する実力派だ。伝統とグローバリズムの交差が、二人の競演にどう表れるかというあたりにも着目したい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2020年4月号より)

*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、本公演は延期となりました。(4/20主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

2020.5/23(土)14:00 フィリアホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
http://www.pacific-concert.co.jp


他公演
2020.5/22(金)武蔵野市民文化会館(小)(完売)
5/24(日)宗次ホール(052-265-1718)
5/26(火)いずみホール(06-6944-1188)