横浜みなとみらいホールの2020年度ラインナップと新館長就任

 横浜みなとみらいホールは、2月19日に記者懇談会を開き、2020年度主要公演ラインナップと併せて、この4月1日からの新井鷗子の館長就任を発表した。西澤洋(横浜みなとみらいホール総支配人)、佐々木真二(同チーフプロデューサー)、池辺晋一郎(同館長)、新井が登壇した。

池辺晋一郎(左)、新井鷗子
写真提供:横浜みなとみらいホール

 最初に、現・館長の池辺のあいさつから。
「2007年以来、横浜みなとみらいホールの館長を務めてきた。開館前からアドヴァイザーとしても携わってきたので、このホールとは運命的な繋がりを感じている。思い出はたくさんあるが、昨年にはハチャトゥリアンの協奏曲のコンサートを開催し、爽快な気分を味わった。また、小ホールを使って、オペラ初心者も楽しめる“気楽にオペラ!”を実現することができたのも嬉しい」と述べた。

 次に、4月より館長に就任する新井が紹介された。新井は東京藝術大学楽理科及び作曲科で学んだ。『題名のない音楽会』『読響シンフォニック・ライブ』などテレビ番組のプロデュースで高い評価を受けているが、近年は東京藝大で障がい者を支援するワークショップやデバイスの研究も行っている。また、3年に一度、横浜を舞台に開催される「横浜音祭り」では初回からディレクターを務めた。新館長就任にあたり新井は「大変光栄に感じている。身が引き締まる思い。音祭りや、藝大での活動の経験を活かして取り組みたい。2022年のホールのリニューアルに向けて、色々と考えていきたい。離れた地域の人に向けて、ホールの魅力を隅から隅まで知ってもらうために、“ホール丸ごとバーチャル”企画などやりたい」と意欲をのぞかせた。

 つづいて2020年度のラインナップの説明が行われた。ベートーヴェン生誕250年、東京 2020オリンピック・パラリンピックが開催される今年は、祝祭感を盛り上げるラインナップとなっているのが特徴。1年を4つのシーズンに区分して様々な公演が開催される。4-6月は地域に密着した内容で、横浜市内の様々な街にあるパイプオルガンのコンサート(5/20〜6/17)をメインに据える。7-9月はジャンルを超えた音楽フェスティバルとして、ダンスや三味線、洋楽器のコラボに最先端の映像や音響を加えての「きこえる色、みえる音」(7月予定)や、人気作家・夢枕獏の書き下ろしのテキストを邦楽の演奏と楽しむ朗読音楽劇『デーモン閣下の邦楽維新Collaboration』(9/4)などを。10-11月はベートーヴェン・イヤーならではの、2つの第九コンサートが登場。まずは若林顕のフランツ・リスト編「第九」ピアノ・ソロバージョン(10/5)。アレンジの妙味と超絶技巧が楽しめる。もう一つはピリオド楽器のアンサンブルによる「第九」。渡辺祐介指揮のオルケストル・アヴァン=ギャルドの演奏、声楽が加わる終楽章では、藤谷佳奈恵(ソプラノ)ら若手実力派が共演(11/10)。

 2020年度最後のシリーズは「Final Season」として、若手作曲家への委嘱作品を取り上げる人気企画「Just Composed 2020 Winter in Yokohama〜現代作曲家シリーズ」(12/13)や横浜みなとみらいホールの年末の風物詩「ジルヴェスターコンサート2020」(音楽監督:池辺晋一郎)を開催。神奈川ゆかりのアーティストが集結して名曲を演奏する(12/31)。
 すでに報道されている通り、横浜みなとみらいホールは天井の耐震化などを含む改修工事を実施。これに伴い、2021年1月2日から2022年10月まで、約1年10ヵ月間、全館休館となる。リニューアル・オープンは2022年11月を予定している。

横浜みなとみらいホール
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