アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2020-2021 前期

彩り豊かな音楽を味わう、平日午後のひととき

 「夜のコンサートには行けないけれど一流の演奏を聴きたい」「ランチの後、素敵な音楽で心も満たしたい」といった要望に応える企画が次々に登場している中、大手クラシック音楽マネジメントのジャパン・アーツが、所属する音楽家の中から選りすぐったメンバーをそろえ、ゆったりとした時間をプレゼントしてくれる「アフタヌーン・コンサート・シリーズ」は、最高級かつフレンドリーな雰囲気のひとときだ。2020年の春から夏にかけて行われる4回のコンサートも、実に個性的な音楽家たちが登場する。

初回にはふかわりょうも登場

 初回の4月15日には、遠藤真理(チェロ)、川久保賜紀(ヴァイオリン)、林美智子(メゾソプラノ)、三舩優子(ピアノ)という女性4人が登場。『うたたねクラシック』と題された、華やかでほっこりとした雰囲気のコンサートだ。遠藤とともにNHK-FMラジオのクラシック番組を担当し、自身もピアノを弾くふかわりょうがナビゲーターとして登場するのも楽しみである。

左より:ふかわりょう/遠藤真理 C)Yusuke Matsuyama/三舩優子 C)Akira Muto/川久保賜紀 C)Yuji Hori/林 美智子 C)Toru Hiraiwa

 5月20日には、もはやベテランの域に達しようとする人気テノール、錦織健が、情緒豊かな日本の名曲をじっくりと聴かせてくれる。伸びやかな美声を堪能できるのはもちろん、トークも楽しいコンサートになるのは間違いなく、誰もが知る歌の魅力を再認識する午後になることだろう。帰り道には、きっとお気に入りの旋律を歌っている人も多いはずだ。

 6月12日には、2020年も恒例の日本全国ツアーを行うウィーン少年合唱団(シューベルト組)が登場し、変わらぬ美声でコンサートホールを音楽の楽園に変えてくれる。カペルマイスターを務めるオリヴァー・シュテッヒの指揮で聴かせてくれるのは、ヨハン・シュトラウスⅡの「美しく青きドナウ」をはじめとする得意なレパートリー。しかしどのようなプログラムであろうとも、輝かしく清らかなウィーン少年合唱団のハーモニーは変わることなく聴衆を幸福にしてくれるだろう。親子で、いや家族三代で聴きに行きたいコンサートだ。

左より:錦織 健/多田聡子 C)Yoneo Kawabe/ウィーン少年合唱団 C)www.lukasbeck.com

未来のスター、ふたりの16歳

 4回目となる7月27日に登場するのは、なんと16歳(20年7月時)のピアニストとチェリスト。04年生まれの奥井紫麻(しお)は、12歳のときにゲルギエフ指揮のマリインスキー歌劇場管と共演するなど世界的に活躍し、現在はチャイコフスキー記念ロシア国立モスクワ音楽院の付属中央音楽学校で研鑽を積んでいるピアニストだ。やはり04年生まれの北村陽(よう)は、17年に行われた「第10回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」で優勝を果たし、一躍その名前と演奏がクローズアップされた。未来のスターといえるふたりのフレッシュな演奏は、聴衆に新鮮な驚きをプレゼントしてくれるかもしれない。先輩ピアニストの金子三勇士が登場し、案内役を務めるのもポイントだ(もちろん演奏も!)。

左より:北村 陽/奥井紫麻 C)Takahiro WATANABE/金子三勇士 C)Ayako Yamamoto

 品格のある空間だと評判の東京オペラシティ コンサートホールで彩り豊かな音楽を聴き、平日の午後を豊かにしてくれる「アフタヌーン・コンサート・シリーズ」。4公演のシリーズ券であれば、個別に購入するより最大で5,600円も得をするという割引システムもうれしい(しかもホール内のホワイエで使えるドリンク券もプレゼント)。ご家族、ご友人とご一緒に。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2020年1月号より)

2020.4/15(水) うたたねクラシック
5/20(水) 錦織 健 テノール・リサイタル 「日本の歌だけを歌う」
6/12(金) ウィーン少年合唱団
7/27(月) はばたけ! ヤング・アーティスト 驚異の16才! “今”を聴く!
各日13:30 東京オペラシティ コンサートホール
シリーズ券:2019.12/21(土)発売 1回券:12/22(日)発売
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 
https://www.japanarts.co.jp