尾高忠明と吉井瑞穂が「第49回 JXTG音楽賞」を受賞

 「第54回 JXTG児童文化賞」と「第49回 JXTG音楽賞」の表彰式が11月15日、東京都内で行われた。同賞はJXTGホールディングス株式会社が、日本の児童文化・音楽文化の発展に大きな業績をあげた個人、団体に贈呈している賞で、1966年に児童文化賞、71年に音楽賞が創設され、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から東京2020公認プログラム(文化)にも認証されている。その音楽賞の邦楽部門を観世清和が、そして洋楽部門の本賞を指揮者の尾高忠明、奨励賞をオーボエ奏者の吉井瑞穂が受賞した。

尾高忠明(左から2番目)、吉井瑞穂(左から5番目)
写真提供:JXTGホールディングス

 洋楽部門本賞の贈賞理由として、選考委員の中村孝義は「昨年、大阪フィルの音楽監督に着任し、オケの真の実力を問われるベートーヴェンの交響曲全集に敢えて既存のスタイルで挑戦し、作品の真価は演奏スタイルを超えたところにあることを、円熟、果敢な解釈で示した。その完成度の高さは、自らの指揮芸術の集大成を計ろうとしているようで、さらなる高みへの飛翔を期待する」としている。

 受賞スピーチで尾高は、「これまで国内外の多くのオケを振ってきたが、大阪フィルとの仕事で自分の中の“何か”が変わったと思う。ベートーヴェンの交響曲についても大阪フィルは“何か”を持っている、その“何か”によってこれまでと違うベートーヴェンができた。かつて恩師(故・齋藤秀雄)から『指揮者は50歳からが第一歩だぞ』と言われた。いま自分は72歳だから、まだ22歳。せっかくこの賞をいただいたからには三十路の80歳までは頑張りたい」と語った。

 洋楽部門奨励賞の贈賞理由を選考委員の舩木篤也は「マーラー室内管の首席奏者を長年務めるなど海外での成果を日本に還元するべく力を注いでいる。自ら設立した音楽祭『レゾナンス 鎌倉の響き』では、舞踊など異分野と協働し、寺院や学校など様々な生活圏に出向くという斬新な試みを継続していて、その高い社会意識も合わせて顕彰したい」とした。

 吉井は受賞スピーチで「自分が所属しているマーラー室内管は約20ヵ国の演奏家で構成されている。言葉も価値観も全く違う人たちが、一つの音楽を目指し出来上がる瞬間がある。それは音楽が世界共通語だから。音楽を通して互いの気持ちが通じ合い、その美しさを愛で楽しむ時間を共有する。そこには目に見えない幸せな会話がもたらす平和がある。我々音楽家は、音楽という平和の実現ツールによって、社会の役に立てるようこれからも頑張っていきたい」と希望を述べた。

JXTGホールディングス
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