野尻多佳子 ピアノソロリサイタル 「ルードヴィヒヘのオマージュⅡ」

ベートーヴェンとブラームスの傑作ソナタを集めて

 野尻多佳子は、国内だけではなく、ドイツ、オーストリア、スイス等、海外でも演奏活動を行うとともに、元シカゴ交響楽団チェロ奏者のドナルド・モリーンなど、著名な演奏家との共演も多い。2001年以来、王子ホールや紀尾井ホールなど、都内の主要ホールで数多く開催したリサイタルでは、毎回印象的なテーマを取り上げ、その演奏は音楽ファンの注目を集めてきた。

 今回はベートーヴェン生誕250年を記念し、「ルードヴィヒへのオマージュⅡ」と名付けられ、リスト編曲の交響曲第9番「合唱付」第4楽章のほか、ピアノ・ソナタ第23番「熱情」と第21番「ワルトシュタイン」が選ばれた。また、ブラームスのソナタ第3番も弾かれる。この曲の第1楽章や第4楽章の同音連打は「熱情」の影響をうかがわせるが、ブラームスがピアノ・ソナタで自己を確立した傑作でもある。ベートーヴェンの不滅の名曲とともに、野尻多佳子のピアノで、じっくりと味わいたい。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2019年12月号より)

2020.1/4(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:文化発信促進委員会(CSPC) 03-3455-6881 
https://cspc-japan.com/