堀米ゆず子(ヴァイオリン)と女神たち

響き合うヴァイオリンのソノリティ


 まさに、ミューズの饗宴だ。1980年に日本人として初めて、エリーザベト国際コンクールの覇者となり、今もなお第一線を走り続ける堀米ゆず子。彼女を軸に、米元響子、有希マヌエラ・ヤンケ、青木尚佳という4人の国際派ヴァイオリニストが一堂に会し、名旋律の数々を、艶やかに紡ぎ上げる。

 1741年製の銘器グァルネリ・デル・ジェスを操り、世界の一流オーケストラと共演を重ね、小澤征爾ら巨匠からの信頼も厚い堀米。国内でも数多くのプロジェクトを手掛け、ブリュッセル王立音楽院などで後進の指導にも力を注ぐ。

 今回、そんな彼女が共演者に選んだのが、前述の気鋭の女性奏者たちだ。1997年にパガニーニ国際コンクールで2位入賞を果たした米元をはじめ、2004年に同じく最高位の第2位のヤンケ、そして、14年にロン=ティボー国際コンクールで第2位となった、堀米の愛弟子でもある青木だ。

 ステージではまず、テレマンの「協奏曲」や、20世紀ポーランドの女性ヴァイオリニスト・作曲家のバツェヴィチの「四重奏曲」と、4つのヴァイオリンのみという特異な編成のためのオリジナル作品を披露。そして、バロック・ヴァイオリニストのヒロ・クロサキが編曲した、モーツァルトの歌劇《魔笛》からの名旋律を。

 後半では、プッチーニの歌劇から2つの名アリア、ブラームスの「ハンガリー舞曲第1、5番」、そして、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」とサン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」を、いずれも大橋晃一の編曲で。未体験の“キャトル・ヴィオロン(4ヴァイオリン)”の魅力を堪能できよう。誰がどの曲を弾くのかは発表されていないが、これも当日のお楽しみだ。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年10月号より)

2019.10/25(金)19:00 浜離宮朝日ホール
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