アルディッティ弦楽四重奏団 & 高橋悠治(ピアノ)

時代の先端を行くトップ・アーティストたちの共演

アルディッティ弦楽四重奏団
C)Astrid Karger

 9月にオープンする高崎芸術劇場は、群馬では初の音楽専用ホールを備えている。演奏者の息遣いまで伝わる、室内楽に理想的な最新設備のホールのオープニングを祝いに、現代音楽の最前線を走るクァルテットがやってくる。

 アルディッティ弦楽四重奏団は結成以来45年、フロントに立ち続けてきた驚異の団体だ。この半世紀の弦楽四重奏シーンは、彼らなしには語れない。どんな難曲でも弾きこなす自在なテクニックは作曲家の想像力を刺激し、委嘱初演作も含め無数の作品を世に送り出した。その老舗が、まさに妥協なしの難曲をひっさげて登場する。しかも、80歳を過ぎた今も旺盛で、先鋭的な創作・演奏活動を続ける高橋悠治との共演という豪華版だ。

 まずは高橋がピアノで加わり五重奏を2曲。楽音と非楽音の境界で目も綾な世界を織り上げる魔術師、シャリーノの「Codex Purpureus Ⅱ(プルプレウス写本Ⅱ)」の後、高橋の師匠にあたるクセナキスの「アケア」が、新ホールの空間をたっぷりとした量感、暴力的なパワーで満たす。ここに高橋の新作四重奏が続き、再びシャリーノの「6 Quartetti brevi(6つの短い四重奏)」が星の明滅のような透明感を演出。掉尾を飾るのは、世界的作曲家・細川俊夫に高崎芸術劇場が共同委嘱した新作だ。

 弦楽四重奏は古典派の時代から多くの名曲が存在するが、その歴史は常に新しい実験精神によって書き換えられてきた。そして書き換えは“いま現在”も続いている。新しい1ページが、まさに高崎で開かれようとしているのだ。415席の贅沢な空間で遭遇する未知の衝撃に備えよ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2019年10月号より)

2019.11/23(土・祝)14:00 高崎芸術劇場 音楽ホール
問:高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900(9/20以降)
http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/