パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

名匠、世界最高峰のオーケストラを率いて新ホールに降臨!


 今秋、大阪の堺市に誕生する新ホール「フェニーチェ堺」のオープニング・コンサートの目玉の一つに、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏会がある。ベルリン・フィルやウィーン・フィルと肩を並べる世界最高峰の名門オーケストラである。弦も管も響きが上質でまろやか、いぶし銀のように底光りする独特の音を持っている。今回の指揮者はパーヴォ・ヤルヴィ。日本ではNHK交響楽団の首席として有名だが、2019/20シーズンからチューリヒ・トーンハレ管弦楽団の音楽監督兼首席指揮者に就任することが決定している。ドイツ・カンマーフィルの芸術監督でもあるパーヴォは、客演として世界中の優れたオーケストラから引っ張りだこの名匠であり、コンセルトヘボウ管にも定期的に登場していて、両者の相性はとてもいい。

 今回のプログラムは、まずベートーヴェンの交響曲第4番。パーヴォはドイツ・カンマーフィルとキビキビとした名演のCDを残している。この老舗オケとはどうなることか、興味深いところである。コンセルトヘボウにはカルロス・クライバーとのライヴ映像があるが、クライバーの挑発に一歩も引かないオケのどっしりとした構えが印象に残っている。後半はショスタコーヴィチの交響曲第10番。マエストロはシンシナティ交響楽団のCDと最近のNHK交響楽団の実演でこの曲の深い解釈を聴かせてくれた。スターリンの死後に書かれた自伝的交響曲の傑作で、ショスタコーヴィチの魂の叫びが軋むような響きのあちこちから聴こえてくる。パーヴォとスーパー・オケの新しいアプローチにも期待したい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2019年8月号より)

フェニーチェ堺 グランドオープン記念
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
2019.11/23(土・祝)17:00 フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)
問:堺市文化振興財団チケットセンター0570-08-0089 
https://www.fenice-sacay.jp/
※ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の全国公演については下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.kajimotomusic.com/