トッパンホール19周年 バースデー企画 ハーゲン プロジェクト 2019

世界のトップ・クァルテットが魅せる清新な音楽世界

©Harald Hoffmann

 第一線で活動を続ける弦楽四重奏団の代表格、ハーゲン・クァルテットは、アジアの本拠地と位置付けるトッパンホールで、刮目すべきプロジェクトを展開してきた。そこで今年10月、ホール19周年のバースデーに合わせて行うのが「ハイドン&バルトーク・ツィクルス」。日本とオーストリア&ハンガリー友好150周年を記念した注目の公演だ。

 ハーゲンQは、兄弟姉妹が主軸ゆえの絶妙な呼吸感、ザルツブルク出自ゆえの伝統的な様式感をベースに、情感豊かで温かな音楽を聴かせてきた。そして近年は、培ったレパートリーを新たな視点で見直しながら作品のさらなる深奥に迫る、一段上の領域に入っている。今回演奏されるのは、ハイドンの「エルデーディ四重奏曲」(第75〜80番)全6曲とバルトークの第2、3、6番。しかもハイドン2曲の間にバルトークを1曲挟んだ公演を3夜にわたって行う。前者は、「5度」「皇帝」「日の出」「ラルゴ」と愛称付きの曲が並ぶ、“弦楽四重奏曲の父”の集大成的傑作集。ここでは2015年のモーツァルト・ツィクルスで魅せたオーストリアのグループならではの芳醇な味わいが期待される。また1910、20、30年代に書かれた3曲が続くバルトークでは、書法の変遷と同時に、90年代の録音から時を経たハーゲンQの熟成された解釈が明示される。さらに同ジャンルの最初期と最終期の完成形たる両者の組み合わせは、2017年のシューベルト&ショスタコーヴィチ同様、相乗効果による新音楽世界への興味を募らせる。

 ここは、“刺激的な円熟”の妙を存分に堪能したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年9月号より)

Ⅰ 2019.10/1(火)
ハイドン:第75番・第76番「5度」、バルトーク:第2番

Ⅱ 2019.10/2(水)
ハイドン:第77番「皇帝」・第78番「日の出」、バルトーク:第3番

Ⅲ 2019.10/3(木)
ハイドン:第79番「ラルゴ」・第80番、バルトーク:第6番

各日19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 
http://www.toppanhall.com/

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