フランシスコ・フローレス(トランペット)

多種多様な音色に浸る新鮮な体験

(c)Ayumi Kakamu

シモン・ボリバル交響楽団及び同ブラス・クインテットの首席トランペット奏者、フランシスコ(パーチョ)・フローレスが、10月にHakuju Hallでリサイタルを行う。このほど名門ドイツ・グラモフォンからソロCDもリリース。凄腕ソリストとしての活動がいよいよ本格化する。
ベネズエラ生まれの彼は、話題の音楽教育システム「エル・システマ」の出身だ。
「8歳から2年間トランペット奏者の父に習った後、エル・システマで教育を受けました。このシステムは若者に平等な教育を提供し、身分の差を取り去って健全な人間関係を築いてくれます」
2004〜06年にはフランスでエリック・オビエに学んだ。
「彼はモーリス・アンドレの直弟子。私は彼が継承するフランスの伝統を教わり、音楽的に大きな影響を受けました」
この間に05年フィリップ・ジョーンズ、06年モーリス・アンドレの各国際トランペット・コンクールで優勝(共にかの天才ルベン・シメオが2位)して「ソリストへのキャリアが開かれた」。
10月のリサイタルは、「ツィゴイネルワイゼン」やゲディケ「演奏会用練習曲」等の著名曲にラテンものを交えた多彩なプログラムだ。
「とてもダイナミックで、色彩の幅に富んだリサイタルになると思います。7種類のトランペットを吹きますので、それだけでも魅力的ではないでしょうか。演目も様々で、最後にはサプライズも用意していますよ」
ペドロ、バエズといったスペインやベネズエラの作品は特に注目される。
「中でも私に献呈されたS.バエズの『私のお兄さん』は、ベネズエラの民族音楽メレンゲのリズムを用いた素晴らしい作品。こうした素敵なラテンものは、さらなる普及を願って演奏しています」
1番の聴きどころは?
「やはり7種の楽器の吹き分け。色々な肌触りの音と音楽が登場しますので、新鮮な体験をして頂けます」
リサイタルの前には、渋谷区青少年吹奏楽団のトランペット・パート団員を教える公開レッスンもある。
「テクニック面と私の日々の練習法を、吹きながら教えたいと思います。日本の生徒はみな長時間練習しますが、トランペットは口の回りの筋肉をすごく使うので、それがいいとは限りません。私は毎日2時間集中して練習しました」
ちなみにCDは、オーケストラとのクラシック作品が中心。
「ヴァイオリン、オーボエ、ピアノ、歌、ギター…などすべてトランペットのための作品以外の曲を集めました。こちらは各楽曲に即した9種類の楽器を吹き分けていますので、音の幅広さやニュアンスの違いを楽しんでいただければと思います」
トランペットの魅力は何より「音色の多彩さ」と語るフローレス。素晴らしいテクニックに裏打ちされた色合いの妙をぜひ体感したい。

取材・文:柴田克彦
(ぶらあぼ2013年9月号から)

《エル・システマ フェスティバル 2013》
参加公演
フランシスコ・フローレス(トランペット) 大室晃子(ピアノ)
★10月8日(火)17:00公開レッスン、
19:00リサイタル 会場:Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター
  03-5478-8700
  http://www.hakujuhall.jp
ローチケLコード37462

【CD】
UCCG-1631 『カンタール』
ユニバーサルミュージック
UCCG-1631 ¥2600

 

 

 

 

 

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