名匠とトップアーティストによる超・独創的なプログラム
2013年の「第九」で読響と初共演、その後オペラも含めて客演を重ねてきたデニス・ラッセル・デイヴィスが11月に再登場する。ひねったプログラムの定期演奏会に注目だ。
昨年亡くなった桂冠名誉指揮者スクロヴァチェフスキは作曲家でもあった。代表作の一つ「ミュージック・アット・ナイト」を冒頭に置き、厳しくも温かかったマエストロを偲ぶ。暗い情念が燃え上がる夜想で、パリに出て本格的に作曲を学び始めた直後、1940年代後半の作だが、指揮者として経験を積んでから77年に改訂されている。
続いてモーツァルト「フルートとハープのための協奏曲」。ベルリン・フィルの首席奏者として人気・実力ともに長らくフルート界の頂点に立つエマニュエル・パユが、同じくベルリン・フィルの首席を務めるハーピスト、マリー=ピエール・ラングラメと共演する。ともにフランス出身という同郷のよしみ、ゴージャスでエレガントなモーツァルトとなろう。現代曲の狭間に可憐な花を咲かせるはずだ。
40年代から50年代にかけてハリウッドで制作されたフィルム・ノワールは、時代の暗部を映し出した一連の犯罪映画を指すが、ジョン・アダムズ「シティ・ノワール」はこれにインスピレーションを受けている。重苦しい心理ドラマやつかの間の休息が、逃走劇のような息詰まるエンディングへとなだれ込む。ビッグ・バンド風の響き、サックスやトロンボーンの長いソロが、時代の音楽アイコンとして彩りを加える。フィルム・ノワールの世界観の核心をとらえた一大音絵巻を、たっぷりとした読響サウンドで体感できる贅沢!
文:江藤光紀
第583回 定期演奏会 11/28(水)19:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp/