今度はベートーヴェンのピアノ独奏曲全曲演奏に挑みます!
ベートーヴェンとショパン、シューマンはちょっと年の離れた親子ぐらいの世代差しかありませんが、その数十年の間に作曲家のピアノ・ソナタに対する姿勢がかなり変わっているのは面白いと思うのです。つまりベートーヴェンの時代にはピアノ・ソナタがピアノ曲の創作の中心だったわけですが、ショパンたちの頃になると、ここぞという時に気合を入れて作曲するものであって、ピアノ・ソナタを書き続けるという時代ではなくなっていたのですね。
来年以降のプログラムはまだ構想中ですが、たとえば第2回は、ベートーヴェンの『葬送ソナタ』(第12番)の第1楽章が変奏曲なので、変奏曲つながりで発展させてみたらどうだろうかというアイディアがあったり、第3回では、第13番と第14番『月光』が『幻想風ソナタ』として発表された作品なので、いくつかの『幻想曲』を組み合わせてみようなどと考えています」
ピアニストにとってベートーヴェンのピアノ・ソナタはどんな存在なのだろう。
「ベートーヴェンはひと言でいうと革命家だと思うのですね。音楽家を教会と王侯貴族から解き放った人で、芸術家としてのメッセージがすごくある。そのベートーヴェンが、交響曲、弦楽四重奏曲と並ぶ3つの柱として生涯を通して作曲したのがピアノ・ソナタですから、やはり非常に意味のある作品群だと感じます」
数時間を超える長時間のコンサート。肉体的・精神的な負担にならないのだろうか。