今度はベートーヴェンのピアノ独奏曲全曲演奏に挑みます!
「2005年にベートーヴェンの協奏曲全曲演奏を行った時、3曲目ぐらいからランニング・ハイみたいな特殊なテンションになって、普段の演奏会だったら気になるような細かいことが一切気にならなくなりました。終わってオーケストラの人にそう言ったら、彼らも同じ感覚だったというのですね。最後の第5番を弾いているときなどは、このままずっと終わらなければいいのにと感じていたというのです。つまり、長い演奏会だからこそ達することのできる境地があるんじゃないかと思っています。僕は基本的にスロー・スターターなので、もともと演奏会の終わりのほうが一番のってくるタイプですし」
とはいっても休憩を含めて6時間は、聴く側にとっても長丁場だ。
「ショパンの全曲演奏会は今年でもう4年なので、お客さまも慣れてきて、スリッパやクッション、膝掛けなどを持ち込んでリラックスして聴いている方もいらっしゃるようです。変な言い方ですけれど、ゆっくりお風呂につかりながら音楽が染みるように入ってくるような聴き方もよいのではないかと思います。ただベートーヴェンにそのスタイルが当てはまるかどうかはわかりませんけどね(笑)」
なるほど、スリッパ! これから7年間。こちらも工夫して、聴く態勢を整えながらじっくりと付き合いたい楽しみな企画だ。
取材・文:宮本 明 写真:武藤 章 (ぶらあぼ2013年7月号から)
横山幸雄ピアノ・リサイタル 〈ベートーヴェン・プラスVol.1〉─初期ソナタの諸相─
★9月8日(日)・東京オペラシティコンサートホール
第1部:11:00 ベートーヴェン:ソナタ第1番、第2番
第2部:12:00 ベートーヴェン:2つのロンド、ロンド・ア・カプリッチョ、ソナタ第3番
第3部:13:30 ベートーヴェン:ソナタ第19番、第20番、第4番
第4部:15:15 ショパン:ソナタ第2番「葬送」/ブラームス:ソナタ第2番
第5部:16:15 シューマン:ソナタ第1番 (17:00頃終演予定)
問: ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp
チケット:ローチケ