インゴ・ メッツマッハー ●指揮

プログラムには一つの文脈が必要です

古典的な作品と近現代ものの並列も特徴を成す。
「それは私の中に、『音楽はすべて一緒だ』という強い思いがあるからです。作曲に使用する音楽言語は変わっても、人間の感情から発生して音楽が作られているのは今も昔も変わりません。古典的な作品と近現代作品を対比させることで、それがより明快に聴衆に伝わり、現代作品にも深い感情が満ち溢れ、伝統的な作品にもモダンな視点があることを、驚きと共に再認識させられると思います」
9月の就任披露公演は、R.シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」にワーグナー《ワルキューレ》第1幕、ムソルグスキー「モスクワ川の夜明け」とスクリャービン「法悦の詩」にチャイコフスキー「交響曲第5番」という2つのプログラム。この文脈やいかに?
「これらを結び付けるのは、エクスタシー、情熱、愛…など。いずれのプログラムもそうです。例えば《ワルキューレ》第1幕は、兄妹の間の最も純粋な愛の成就ですが、それはスクリャービンにも通じます」