プログラムには一つの文脈が必要です
次の登場は来年7月。「ベートーヴェン&ツィンマーマン」=スタンダード&現代ものという、まさしくポリシー通りの2プログラムである。
「これは私自身にとって大切なプロジェクトです。ツィンマーマンは過激な思想家で、常にたゆみなく人生の道のりを歩んだ作曲家。そこにベートーヴェンとの共通点を見出せます。ベートーヴェンの交響曲第3番と第5番は、芸術家として新しい世界に踏み出すことを謳っており、音楽以上のものが込められています。またツィンマーマンの『私は振り返り太陽の下で行われたすべての不正を見た』(日本初演)と『誰も知らない私の悩み』には、神に対する訴えという共通項があります。今回は2人の作品を大きな文脈の中で捉え、そのテーマ性を強調したいと考えています」
音楽自体も面白そうだ。
「『私は振り返り〜』は、バス歌手と語り手2人が登場し、トロンボーンや語り手を舞台外に配置するほか、指揮者にも変わった指示がある演劇的要素を含んだ作品。『誰も知らない私の悩み』には、その題の有名な黒人霊歌がはっきりと組み込まれています」
これら興味深いプログラムに注目しつつ、まずは9月、メッツマッハーの真髄に触れたい。
取材・文:柴田克彦 写真:青柳 聡
(ぶらあぼ2013年9月号掲載)
Concert
インゴ・メッツマッハー(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団
#514 定期演奏会 トリフォニー・シリーズ
★9月6日(金)19:15
★9月7日(土)14:00
すみだトリフォニーホール
曲: R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》第1幕(演奏会形式)
出演: ジークリンデ:ミヒャエラ・カウネ/ジークムント:ヴィル・ハルトマン/
フンディング:リアン・リ
#515 定期演奏会 サントリーホール・シリーズ
★9月14日(土)14:00・サントリーホール
#84 多摩定期
★9月15日(日)15:00・パルテノン多摩※
特別演奏会
★9月16日(月・祝)16:00・三重県文化会館◆
曲: ムソルグスキー(R.コルサコフ編):歌劇《ホヴァーンシチナ》前奏曲
「モスクワ川の夜明け」
スクリャービン:法悦の詩
チャイコフスキー:交響曲第5番
#528 定期演奏会 サントリーホール・シリーズ
★2014年7月13日(日)14:00・サントリーホール
曲: ツィンマーマン:トランペット協奏曲「誰も知らない私の悩み」
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」他
出演:ホーカン・ハーデンベルガー(トランペット)
#529 定期演奏会 トリフォニー・シリーズ
★2014年7月18日(金)19:15
★2014年7月19日(土)14:00
会場:すみだトリフォニーホール
曲: ツィンマーマン:私は振り返り太陽の下で行われたすべての不正を見た
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」他
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
http://www.njp.or.jp
※ 問:チケットパルテノン042-376-8181
◆ 問:三重県文化会館チケットカウンター059-233-1122
チケット:ローチケ