生誕200年「ワルツ王」の名曲を中心にした濃密なウィーン・プログラム
世界的イベントとなったウィーン・フィルのニューイヤーコンサートだが、かつてはもっとローカル色の強い、ウィーンの演奏家によるウィーンでのイベントだった。その時代の名物になったのが「ボスコフスキーの弾き振り」。ウィーン生まれのコンサートマスター、ヴィリー・ボスコフスキーが、1955年から79年までのニューイヤーでヴァイオリンを弾きながら指揮台に立ち、優雅な弾き振りを披露していた。
その姿を見て憧れた一人が“MARO”こと篠崎史紀。長年N響コンサートマスターを務める篠崎は、ウィーン市立音楽院に学び、同地を重要な音楽的ルーツとしている。その彼の経験と憧れが結実したのが、2023年から開催されている「篠崎“MARO”史紀のニューイヤーコンサート」。“MARO”がヴァイオリン片手に東京フィルの指揮台に立ち、ウィーンの音楽の数々を聴かせるのである。しかも3年目となる2025年は、“ワルツ王”と称えられるヨハン・シュトラウスⅡ世の生誕200年であり、意気込みも深まるというもの。
プログラムももちろん“ワルツ王”の傑作が中心に。ポルカは「アンネン・ポルカ」、「狩」、ワルツは「酒、女、歌」、「美しく青きドナウ」などの超名曲集。本場をよく知る篠崎の弾き振りで楽しめるのは嬉しい。加えて今回の注目曲は、やはり19世紀後半ウィーンで活躍したJ.ヘルメスベルガーによる、4台のヴァイオリンのための「ロマンスとタランテラ」。ピアノパートを本公演のためにオーケストラ編曲、ソリストは“MARO”と東京フィルメンバーで、稀少な曲を体験できる好機。
ヨハン・シュトラウスⅡ世自身、ヴァイオリンを弾きながら優美に指揮をする姿が人気だった。作曲者からボスコフスキー、そして日本の篠崎“MARO”史紀へ。サービス精神あふれるステージを!
文:林昌英
【Information】
篠崎“MARO”史紀のニューイヤーコンサート2025
2025.1/19(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
♪出演
ヴァイオリン・指揮・トーク:篠崎史紀
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
♪曲目
レハール:《メリー・ウィドウ》より「バルシレーネンワルツ」
J.ヘルメスベルガー:4台のヴァイオリンのための「ロマンスとタランテラ」
J.シュトラウスⅡ世:
アンネン・ポルカ、トリッチ・トラッチ・ポルカ、
ポルカ「狩」、「雷鳴と稲妻」、
ワルツ「酒、女、歌」、「フェニックスの翼」、「ウィーンの森の物語」、「皇帝円舞曲」、「美しく青きドナウ」
問:サンライズプロモーション東京0570-00-3337
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