東京・春・音楽祭 ―東京のオペラの森2018―

今から間に合う公演にも、お宝が目白押し!

左より:スペランツァ・スカップッチ C)Dario Acosta、エヴァ・メイ、イルダール・アブドラザコフ C)Sergey Misenko、
アイリーン・ペレス C)Rebecca Fay、サイミール・ピルグ C)Paul Scala、中嶋彰子

 いよいよ始まった桜の季節の上野エリアの風物詩「東京・春・音楽祭」。ここでは、まだ間に合う注目の公演をご紹介しよう。
 まずは4月15日の「ロッシーニ『スターバト・マーテル』」(東京文化会館大ホール)。同音楽祭が力を注ぐ「合唱の芸術シリーズ」と、没後150年の今年、光をあてたロッシーニ作品の両面で重要な公演だ。曲は旋律美溢れるオペラティックなテイストと宗教音楽の深みを兼備した名作。しかも映画『アマデウス』で広まったモーツァルトの交響曲第25番も演奏されるので、幅広い層にお薦めできる。ウィーン国立歌劇場やペーザロ・ロッシーニ音楽祭等で活躍するイタリアの女性指揮者スペランツァ・スカップッチが、機能性抜群の都響と共に紡ぐ音楽への期待も大きく、世界的スターのエヴァ・メイ(ソプラノ)、METやパリ・オペラ座の常連イルダール・アブドラザコフ(バス)、共にロッシーニを得意とするマリアンナ・ピッツォラート(メゾソプラノ)、マルコ・チャポーニ(テノール)とソリストも豪華。毎回圧倒的な合唱を聴かせる東京オペラシンガーズを含めて万全の態勢だ。
 ロッシーニ没後150年絡みでは、イタリア・オペラの名曲やアリアをふんだんに楽しめる3月28日の「スプリング・ガラ・コンサート」も見逃せない(東京文化会館大ホール)。指揮のレナート・バルサドンナは、オペラを熟知した存在としてロイヤル・オペラ等各地の歌劇場からの信頼が厚いイタリアの名匠。彼が在京オケの首席奏者を主体とした東京春祭特別オーケストラから引き出す本場の味が聴きものだし、2010年ロイヤル・オペラ日本公演の《椿姫》の劇的な代役で名を上げ、近年METやスカラ座等で引く手数多のアイリーン・ペレス(ソプラノ)、甘い美声で世界を席巻する“パヴァロッティの後継者”サイミール・ピルグ(テノール)、著名なロッシーニ歌手ジュリオ・マストロトターロ(バリトン)、キャリア豊富なマシュー・クラン(バス)とソリストも魅力十分だ。
 ひと味違う悦びをご所望の方には、4月6日の「Cabaret(キャバレー)を巡る物語」を。ソプラノの中嶋彰子がジャンルを超えた仲間たちと1920年代の華やかなりしキャバレーの世界を再現し、上海(「蘇州夜曲」等)から、ベルリン(「三文オペラ」等)、パリ(「愛の讃歌」「フレンチカンカン」等)を経て上野に至る魅惑の夜を演出する。会場はかつてのグランドキャバレーで大正時代の香りが漂う東京キネマ倶楽部、開演時間は21:30と全てが“アダルト”。終了後は朝まで繰り広げられる第2部「東京春祭LATE NIGHT SHOW」(内容は当日に)が用意されているというから、アクティブな大人は存分に楽しめる。
 このほかコンスタンチン・リフシッツの「J.S.バッハピアノ協奏曲全曲演奏会」(3/30,4/1)、エリーザベト・レオンスカヤの「シューベルト・チクルス」(4/4〜4/14)の両ピアノ・シリーズは、音楽的な意義が大きく、残席があればぜひ耳にされたい。また個人的には、昨年の第1回での強固にして柔軟な演奏が光った郷古廉&加藤洋之の「ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会Ⅱ」(4/13)が大いに楽しみ。何はともあれ、今から間に合う公演にも宝は豊富だ。

東京・春・音楽祭 ―東京のオペラの森2018―
2018.3/16(金)〜4/15(日)
東京文化会館、東京藝術大学奏楽堂(大学構内)、上野学園 石橋メモリアルホール、
国立科学博物館、東京国立博物館、東京都美術館、国立西洋美術館、上野の森美術館、東京キネマ倶楽部 他
問:東京・春・音楽祭チケットサービス03-6379-5899
※各公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.tokyo-harusai.com/

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