「死と乙女」×森山開次 弦楽四重奏とダンスが交差し導くシューベルトの世界

森山開次 ©Shingo Shimizu

 国際的に活躍するダンサー・振付家、森山開次のチャレンジに注目するクラシック音楽ファンは少なくない。2024年度の全国共同制作オペラ《ラ・ボエーム》では井上道義指揮のもと、演出家としても優れた手腕を発揮した。また、今年3月に渋谷区文化総合センター大和田で開かれた「春の祭典2024」では、ソロダンスによってストラヴィンスキーの傑作を踊った。その驚異的な身体表現は「春の祭典」という作品の可能性を広げるものだった。

 そして25年1月、森山は新たな創作舞台とともに渋谷区文化総合センター大和田に帰ってくる。題材はシューベルトの弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」。共演を果たすのは日本の若い世代を代表する名手たち。山根一仁と毛利文香のヴァイオリン、田原綾子のヴィオラ、森田啓介のチェロによりクァルテットが組まれる。

 プログラムは2部構成となっている。第1部では田原のヴィオラ独奏による西村朗「C線のマントラ」や、ヴァイオリンとヴィオラによるバルトークの「44のデュオ」抜粋他が演奏される。第2部は森山のダンスと演出による「死と乙女」。弦楽四重奏とダンスのコラボレーションが実現する。シューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」は、第2楽章が自身の歌曲〈死と乙女〉に基づくことからこの題で呼ばれている。歌曲で描かれているのは病に伏す乙女と死神の対話だ。はたしてこの楽曲からどんな世界観が導き出され、ダンスとして結実するのか。森山開次の創造性と身体能力が新たなシューベルトの世界を切り拓く。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2024年11月号より)

Live Performance SHIBUYA 森山開次「死と乙女」
2025.1/9(木)19:00 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
問:渋谷区文化総合センター大和田 ホール事務室03-3464-3252
https://www.shibu-cul.jp