オーボエの新しき名手がみせる煌めく才能
2015年の「第11回 国際オーボエコンクール・軽井沢」で奨励賞を獲得した副島理沙が、東京・春・音楽祭で、その奨励賞受賞記念としてリサイタルをひらく。神戸に生まれ、モンベリアール音楽院、シュトゥットガルト音楽舞台芸術大学、リューベック音楽大学、ローザンヌ高等音楽院などで学び、現在、チューリヒ歌劇場にオーケストラ・アカデミー生として在籍。そんな彼女だけに今回のリサイタルも、フランス、ドイツ、オーストリア、ポーランド、ハンガリーなど様々な国の作品が並ぶ。また時代もバロックから20世紀作品まで多彩である。
フランス・バロックのクープランの「王宮のコンセール」で華やかに始まり、シューマンの「3つのロマンス」とプーランクのオーボエ・ソナタというドイツとフランスでの最も重要なオーボエのレパートリーが披露される。プログラム中間で演奏されるクルークハルトは、19世紀後半のドイツの作曲家。「葦の歌」はロマンティックな作品である。モーツァルトのオーボエ四重奏曲を経て、20世紀ポーランドのルトスワフスキの「墓碑銘」、ハンガリー出身の大指揮者でオーボエ奏者でもあったアンタル・ドラティの「協奏的二重奏曲」が取り上げられる。オーボエ奏者としての実力を示すにふさわしい曲ばかりだ。
また、チェンバロの大塚直哉、ピアノの江口雅子、ヴァイオリンの三上亮、ヴィオラの鈴木康浩、チェロの金子鈴太郎ら実力者揃いの共演者が頼もしい。海外在住の新たな才能を聴く、絶好のチャンスである。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年4月号より)
2018.4/1(日)15:00
上野学園 石橋メモリアルホール
問:東京・春・音楽祭チケットサービス03-6379-5899
http://www.tokyo-harusai.com/