音楽で描く世界地図 〜アンセム(愛唱歌)プロジェクト Road to 2020 山田和樹(指揮) 東京混声合唱団

豪華な布陣で楽しむ世界の名歌

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、世界各国のアンセム(愛唱歌)を、演奏会やレコーディングにより可能な限り数多くとりあげていこうというのが山田和樹アンセム・プロジェクト。音楽を通じて世界各国への関心を深める興味深いプロジェクトだ。
 この2月に山田和樹指揮の東京混声合唱団が披露するのは、そんなアンセムの数々。アンセムというと元来は宗教合唱曲を指しているのだが、ここではもっと平たく、みんなが折に触れて口ずさんでしまうような歌といえばいいだろうか。世界各国のナショナル・アンセム、つまり国歌に加えて、ヴェルディの〈ゆけ、わが思いよ、黄金の翼に乗って〉のような“イタリア第2の国歌”と呼ばれるオペラからの名曲もあれば、日本人にとっての愛唱歌である「気球に乗ってどこまでも」や「翼をください」「上を向いて歩こう」といった曲も歌われる。「音楽で描く世界地図」というのが今回の公演のテーマだ。曲目一覧のなかには 「Over the Rainbow」といった曲も。これなどは、もはやどの国の音楽というよりは、20世紀のグローバルなアンセムといってもいいかもしれない。
 なじみ深い曲がたくさん並ぶことになるが、聴きどころは東京混声合唱団のハイクオリティな合唱でこれらの曲を聴ける、ということ。指揮に山田和樹、ピアノに10年ジュネーヴ国際コンクールで日本人初優勝の萩原麻未という豪華布陣で聴くアンセム。よく知っているはずの曲が、まったく未知の輝きを放つのではないだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2018年2月号より)

2018.2/20(火)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 
http://www.japanarts.co.jp/