
右:萩原麻未 ©Marco Borggreve
ヴァイオリニストの神尾真由子とピアニストの萩原麻未は、それぞれチャイコフスキー国際コンクールとジュネーヴ国際音楽コンクールでの優勝歴を誇る、日本を代表する名手であるとともに、同い年、大学で後進を育成する教育者、そして母であるという共通点を持っている。2019年の初共演で意気投合したふたりは、コロナ禍を境に急速に共演の機会が増え、いまでは名デュオとして高い評価を獲得している。
リハーサルではあまり多くを語らない神尾だが、萩原とは言葉を交わさずとも、演奏を通して互いのやりたいことが手に取るようにわかるという。そんな神尾と萩原のツアーが、9月から10月にかけて開催され、全国各地で8公演が予定されている。ツアーでは、前半にサン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番もしくはフランクのヴァイオリン・ソナタが演奏され、後半には小品で世界各国を旅するようなプログラムが用意されている。
神尾「リサイタルでは、クラシック音楽に馴染みの薄い方にも曲の魅力がしっかりと伝わる作品を選ぶようにしています。同時に、クラシック音楽の熱心なファンの方にも新しい発見があるようなプログラムを考えました。ソナタもひとつ入れたかったので、私が長年弾いてきた作品のなかでもとりわけ華やかな、サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番とフランクのヴァイオリン・ソナタを公演によって弾きわけます。どちらもピアノに聴きどころの多い作品なので、萩原さんの妙技を存分に堪能していただけるでしょう。
後半は、私が得意にしている小品のレパートリーから、世界各地の民謡や舞曲に関連した、異国情緒溢れる作品を組み合わせました。リサイタルを締めくくる『ツィゴイネルワイゼン』は、萩原さんと初めて共演した際にも演奏した思い出深い作品です。こうして再び、信頼する萩原さんと全国のお客様に演奏をお届けできることをとても嬉しく思っています。私たちふたりと共に巡る音楽の旅を、どうぞお楽しみください」
萩原「サン=サーンスのソナタ第1番は、今回初めて挑戦する作品ですが、フランクのソナタは高校生の頃から何人ものヴァイオリニストと演奏してきました。いつか神尾さんともフランクで共演したいと願っていたので、今回それが実現して、とても嬉しく思っています。フランクのソナタは4つの楽章の移ろいのなかに、さまざまなドラマがある作品ですので、神尾さんの創り出す世界にたっぷりと浸っていただけるはずです。
私は、プログラムの後半にあるようなヴィルトゥオーゾ・ピースのピアノ・パートを弾くのも大好きです。こうした小品のピアノ・パートはシンプルなものが多いですが、だからこそ、そこには高度な音楽性や深い呼吸が求められますし、ヴァイオリニストの個性が活きるように弾くことは、私にとってなによりの喜びです。神尾さんとの“世界一周旅行”を今からとても楽しみにしています」
取材・文:八木宏之
(ぶらあぼ2026年8月号より)
神尾真由子&萩原麻未 デュオ・リサイタルツアー2026
2026.9/5(土)〜10/31(土) 静岡、東京、千葉、宮城、香川、大阪、神奈川
https://www.kajimotomusic.com
※全国ツアーの詳細は上記ウェブサイトの「神尾真由子」アーティストページでご確認ください。

八木宏之 Hiroyuki Yagi
青山学院大学文学部史学科芸術史コース卒。愛知県立芸術大学大学院音楽研究科博士前期課程(修士:音楽学)およびソルボンヌ大学音楽専門職修士課程(Master 2 Professionnel Médiation de la Musique)修了。
2021年春にWebメディア『FREUDE』を立ち上げ。クラシック音楽を中心にプログラムノートやライナーノーツ、レビュー、エッセイを多数執筆するほか、アーティストへのインタビュー、コンサートのプレトーク、講演会なども積極的に行なっている。
https://freudemedia.com

