【CD】バッハ:ヨハネ受難曲/ガーディナー&モンテヴェルディ合唱団&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ

 名匠ガーディナーによる、3度目の「ヨハネ」の録音。久々のドイツ・グラモフォンへの復帰作でもある。特定の楽曲を長いツアーを通じて練り上げ、最後にライブ収録するスタイルを続けてきたが、今回は無観客ライブ配信との同時録音。全員が一丸となって、ひとつの音楽的目標に向かっていくような2003年の前回録音と比べ、表現の彫りが深く劇的だ。冒頭の合唱曲から、ビートを利かせた速めのテンポ取りで、「Herr(主よ)!」という3回の呼びかけには鬼気迫る感も。随所での対旋律の強調や奏者個々の自主性の露出など、まるで各々の心の叫びを反映しているかのよう。コロナ禍ゆえに、生まれた凄演か。
文:寺西肇
(ぶらあぼ2022年4月号より)

【information】
CD『バッハ:ヨハネ受難曲/ガーディナー&モンテヴェルディ合唱団&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ』

J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV245

ニック・プリッチャード(福音史家/テノール) ウィリアム・トーマス(イエス/バス) ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮) モンテヴェルディ合唱団 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 他

収録:2021年4月、オックスフォード(ライブ)
ユニバーサルミュージック
UCCG-45041/2(2枚組) ¥3960(税込)