【CD】イタリアンソング with 加耒徹 /プロムジカ使節団

 気鋭の古楽集団「プロムジカ使節団」のデビュー盤。「ソング」と軽やかだがモンテヴェルディ、カッチーニら初期イタリア・バロックの、濃厚な情念を表出する歌曲が主役だ。バッハ・コレギウム・ジャパンなどで活躍する加耒徹の、明晰で力強い歌声が響く。さらに同時代のフレスコバルディから18世紀のD.スカルラッティに至るオルガン、チェンバロ独奏曲が挟まれる。器楽が人間の声を規範に発展し始めた時代の音楽を、歌心溢れる名手たちが彩色する。おっと、英国ダウラントのリュート曲と歌曲もゲスト参加だ。まさに歌の饗宴。あえて曲目解説を掲載しないのは「音楽で勝負」の心意気か。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2024年6月号より)

【information】
CD『イタリアンソング with 加耒徹 /プロムジカ使節団』

モンテヴェルディ:苦しみはかくも甘い/ダウラント:What if a day、流れよ 私の涙/カッチーニ:かくも甘き吐息よ/フレスコバルディ:書簡の朗読の後のカンツォーナ/D.スカルラッティ:ソナタ K.175 他

プロムジカ使節団
【圓谷俊貴(オルガン/チェンバロ) 佐藤亜紀子(リュート/テオルボ) 伊藤美恵(バロックハープ) 蔡怜雄(パーカッション)】
加耒徹(バリトン)

ナミ・レコード
WWCC-8010 ¥3300(税込)