アンドレア・バッティストーニ(指揮)

新しい試みも導入して上演するヴェルディ・オペラの最高峰

C)上野隆文

 この秋Bunkamuraオーチャードホールで上演される《オテロ》(演奏会形式 /管弦楽:東京フィル)は、本年のオペラ公演でも屈指のものになるに違いない注目公演である。《ナブッコ》や《トゥーランドット》など数々のイタリア・オペラで日本のファンを魅了してきたイタリアの若きマエストロ、アンドレア・バッティストーニが、満を持して、ヴェルディのオペラのなかでも最愛のひとつだという《オテロ》を振るのだ。
「《オテロ》は初演の時から聴衆に衝撃を与えた作品です。その衝撃は今日でも続いていて、聴き手は同じように衝撃を受けるのです。極限に達した歌のフォルムと、初期のヴェルディ・オペラとは比べものにならないオーケストラの饒舌さ。主役のオテロは、従来のオペラのテノールように類型的でなく、自分と対話し、弱いところを見せる新しいヒーローです。ヴェルディはシェイクスピアの原作からインスピレーションを受けて、人間の深いところを描き出し、20世紀へ続く新しい表現を開拓しました。彼は作曲当時70歳を超えていましたが、当時のオペラがどこへ向かっているかも知っていたし、若々しい感性を持っていたから、このような素晴らしい作品を残すことができたのです」
 今回は演奏会形式だが、眞鍋大度率いるメディアアート集団「ライゾマティクスリサーチ」による映像演出がつく。
「《オテロ》はもともと演奏会形式での上演に向いているオペラです。演奏会形式でも、作品のもつドラマが損なわれないからです。とはいえ、今回は最新のテクノロジーを駆使して人物の心理を投影するという新しい試みが加わるので、とてもワクワクしています。かつてないようなオペラ上演になるのではないでしょうか」
 《オテロ》は、作品の完成度の高さという点ではヴェルディのオペラのなかでも評価が高いが、《椿姫》などに比べるととっつきにくいと思う方もいるかもしれない。
「そうでしょうか。私は小学校でオペラの話をする時、よく《オテロ》をとりあげます。ここに描かれている人間の普遍的な感情は、子どもでも親しみやすく、よく理解できるものなのです」
 世界で活躍するエレーナ・モシュク、イタリアが生んだ現代の“オテロ歌い”フランチェスコ・アニーレなど、キャストも第一線が揃った。
「理想的なキャストで嬉しいです。モシュクのピュアな声は天使のようなデズデーモナにぴったりだし、アニーレはオーケストラを突き抜ける声を持っている、本物のオテロ歌いです」
 「かつてないようなオペラ上演」の幕は、間もなく上がる。
取材・文:加藤浩子
(ぶらあぼ2017年9月号より)

ヴェルディ:オペラ《オテロ》(演奏会形式)
2017.9/8(金)19:00、9/10(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール
問:Bunkamuraチケットセンター03-3477-9999 
http://www.bunkamura.co.jp/

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