7月14、15日、大阪国際フェスティバルで、バーンスタインの「ミサ」が国内では23年ぶりに上演される。6月下旬からは東京都内で本公演に向けた稽古も開始。去る6月27に行われた記者向けの公開稽古をレポートした。
(2017.6.27 都内稽古場 Photo:M.Terashi&J.Otsuka/TokyoMDE)
バーンスタインの「ミサ」は、本公演を指揮する井上道義いわく「ミュージカルを超えたミュージカル!」。
「歌手、演奏者、ダンサーのためのシアター・ピース」という副題を持ち、オーケストラ、合唱のほか、18人の独唱者、児童合唱、ロックバンド、ブルースバンド、ダンサーなどを要する大作。
ミュージカルの不朽の名作『ウェスト・サイド・ストーリー』にも劣らない、軽快で美しいメロディラインもあって、クラシックファンだけでなく、ジャズやポピュラー音楽を志向する層からも高い支持を受けている。
稽古場には、本公演のミュージック・パートナーで指揮者の佐渡裕も駆けつけ、稽古を見守った。
ミサ曲とは、言うまでもなくカトリック教会のミサに伴う声楽曲。しかし、バーンスタインの「ミサ」は、伝統的な「ミサ曲」の形式に添いつつも、「神に祈るだけではダメだ」と古い伝統への批判を込め、典礼文による儀式を中断、ロック歌手らがそれを否定するなど、多様な要素が絡みあう。
全体は17の曲で構成(詳細はこちら)されている。
この日の稽古は、本公演での休憩後にあたる第10曲<クレド 信仰告白>からスタート。
「私は絶対に神を信じるなんて言わない」と歌うバリトン(久保和範)の歌唱に続き、メゾ・ソプラノ(森山京子)が「再来を約束したのだから、早く来てくれ」と歌う。
あんたはまたやって来るって言ったよね?いつなのさ?世の中ひどいことになってるよ・・・
世界の終わりに終わりのない世界があるの。終わりなき世界が心なく回転し続ける・・・
井上から小川に演技の指示が飛ぶ。
井上「さあ、みんな元気出して!とストリート・コーラスの人たちを促して立たせて!」
俺は神を信じているが、神は俺のことを信じてくれているんだろうか?・・・
井上「俺のこと信じてくれてないじゃないか・・・と嘆くように演技して」
指揮に演技指導にと動き回る井上道義
井上「机でバーンスタイン(=司祭)が作曲しているような感じで歌って! 」
井上「アーメンにあわせてオーボエが演奏します」
第14曲<サンクトゥス 聖なるかな>。司祭に続き、少年聖歌隊が登場する
聖なるかな、聖なるかな・・・
井上「チリリ〜ンと鈴を鳴らすと、こどもたちがやってくる。司祭はまだ夢を見ている。そこにこどもたちが『嬉しい〜、パパ〜』ってじゃれてくる。司祭は嬉しくなって・・・」
司祭の歌に続きカウンター・テナー(藤木大地)が歌う。
聖なるかな 聖なるかな、神の栄光に満たされり・・・
第15曲<アニュス・デイ>神の仔羊の後半、ラテン語の「dona nobis pacem(ドナ・ノビス・パーチェム)」(我らに平和を与えたまえ)に対し、英語で「もううんざりなんだ。平和を!」と全員の怒涛の大合唱
稽古場では衣裳あわせも行われた。(※衣裳は変更になる可能性があります)
■第55回大阪国際フェスティバル2017
大阪フィルハーモニー交響楽団創立70周年記念
バーンスタイン:シアターピース「ミサ」
〜歌手、演奏者、ダンサーのための劇場用作品(新制作/原語上演・日本語字幕付き)
7/14(金)19:00、7/15(土)14:00 フェスティバルホール
総監督・指揮・演出/井上道義
照明/足立 恒
美術/倉重光則
振付/堀内 充
ミュージック・パートナー/佐渡 裕
音響/山中洋一
副指揮/角田鋼亮
合唱指揮/福島章恭
児童合唱指揮/大谷圭介.
舞台監督/堀井基宏
キャスト/大山大輔、込山直樹、小川里美、小林沙羅、鷲尾麻衣、野田千恵子、幣真千子、森山京子、後藤万有美、藤木大地、古橋郷平、鈴木俊介、又吉秀樹、村上公太、加耒 徹、久保和範、与那城 敬、ジョン・ハオ
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団
児童合唱:キッズコールOSAKA
バレエ:堀内充バレエプロジェクト/大阪芸術大学舞台芸術学科舞踊コース
助演:孫高宏、三坂賢二郎(兵庫県立ピッコロ劇団)
問:フェスティバルホール06-6231-2221
http://www.festivalhall.jp/
●大阪国際フェスティバル公式ブログ
・バーンスタイン「ミサ」特設ブログ
http://blog.osakafes.jp/2017mass
【関連記事】
●井上道義が語る、バーンスタイン「ミサ」
https://ebravo.jp/archives/35089
●インタビュー:井上道義(指揮)
https://ebravo.jp/archives/33053