レナード・スラットキン(指揮) デトロイト交響楽団

アメリカン・サウンドの魅力を存分に

 1914年設立のアメリカ屈指の伝統を誇るデトロイト交響楽団が、19年ぶりの来日を果たす。指揮は2008年より音楽監督を務めるレナード・スラットキン。オーケストラから最良のサウンドを引き出すことにかけては定評のある名匠だけに、現在のデトロイト交響楽団の実力を知る好機が訪れた。
 うれしいのは彼らならではのプログラムが組まれていること。ひとつはオール・アメリカン・プログラム(7/17)。バーンスタインの《キャンディード》序曲、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」、そしてコープランドの交響曲第3番。まさに“ベスト・オブ・アメリカ”とでもいうべき作曲家が並ぶ。とりわけコープランドの交響曲第3番が聴けるのは貴重。アメリカのオーケストラとして、自国が生んだ傑作を世に広めようという気概が伝わってくる。
 ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」で共演するのは、ジャズ・ピアニストとして活躍する小曽根真。この曲のソリストにこれ以上ふさわしい人もいない。実はスラットキンは「ニューヨークのブルーノートでも何度も聴いている」というほどの小曽根真ファンなのだとか。
 もうひとつのプログラムではバーンスタインとガーシュウィンの同作品に加えて、現代の作曲家C.マクティーの「ダブルプレー」とチャイコフスキーの交響曲第4番が演奏される(7/16)。この楽団の柔軟性とパワーを堪能できそうだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ 2017年7月号から)

7/16(日)14:00 ザ・シンフォニーホール
問:カジモト・イープラス0570-06-9960
7/17(月・祝)15:00 文京シビックホール
問:シビックチケット03-5803-1111
http://kajimotomusic.com/

他公演
7/15(土)豊田市コンサートホール(0565-35-8200)
7/19(水)東京オペラシティ コンサートホール(国際音楽祭NIPPON)(カジモト・イープラス0570-06-9960)
7/20(木)福井県立音楽堂ハーモニーホールふくい(0776-38-8282)