平林 龍(バリトン)

極上の“フレンチ・メロディ”を再び

©Shigeto Imura
 パリ・エコールノルマル音楽院で研鑽を積み、多彩な演奏活動を続けている若手バリトン歌手の平林龍。
 昨年12月には、フランス近代音楽を代表するフォーレの歌曲を、より高度な完成の域へと導いた「象徴派」の詩人ポール・ヴェルレーヌのテキストによる作品を全て収録したCD(2015年にHakuju Hallで行われた公演のライヴ録音)をリリースし好評を博した彼が、この7月にヤマハホールで再び“フレンチ・メロディ”ファン注目のリサイタルを開催する。
 プログラムはフォーレがヴェルレーヌに続いて大きな関心を寄せたベルギー象徴派詩人ヴァン・レルベルグの連作歌曲「閉じられた庭」や、同派のフランス詩人アルベール・サマンによるデリケートな美しさを放つ歌曲群で幕開け。フォーレより17歳下ながら巨匠のテキストに目を付けたのは先輩よりも先だったドビュッシーが遺したヴェルレーヌの詩による「3つの歌曲」、そして円熟期に書かれた15世紀フランス古典最大の詩人フランソワ・ヴィヨンのバラード3篇に作曲された佳曲と続く。後半はパリのエスプリ薫るプーランクによる室内楽伴奏付き声楽作品の世界へ。1932年発表の世俗カンタータ「仮面舞踏会」は現代詩の先駆者であるマックス・ジャコブのテキストによるユーモラスな作品。締めは20世紀オペラの道を切り拓いたドビュッシーの《ペレアスとメリザンド》より。共演はピアノの沢木良子とソプラノの原田幸子(メリザンド役)ら。ちなみに公演日は何と「パリ祭」(フランスの建国記念日)の翌日だ!
文:東端哲也
(ぶらあぼ 2017年6月号から)

7/15(土)13:30 ヤマハホール
問:ヴァンクール音楽院03-3796-3021
http://ryuhirabayashi.com/

CD
『平林 龍バリトンリサイタル〜フォーレとヴェルレーヌ〜』
RH01
¥2000(税込)