ベルリンフィル12人のチェリストたち

情熱的なピアソラとエレガントなパリの音楽を

Photo:Stephan Röhl
Photo:Stephan Röhl
 世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ・セクションのメンバーによって構成された「ベルリンフィル12人のチェリストたち」。このゴージャスなアンサンブルは1972年にザルツブルクで誕生したのだが、意外にもフル・プログラムによる初めての公演は翌年の10月に東京の早稲田大学大隈記念講堂で行われ、この年に彼らのために作曲された最初のオリジナル作品(ボリス・ブラッヒャー作)も同時に初演されたという。その後も、多くの著名な作曲家たちがこの「12人〜」のために作品を書き、彼らは世界各地で演奏を行い、レコーディングを重ねてきた。
 幾多の世代交代を経験し、結成から44年を経てなお、音楽ファンに愛され続ける彼らが今年7月、14回目となる来日公演を開催する。今回のプログラム・テーマは「パリ — ブエノスアイレス」。メインとなるのはニュー・アルバムにも収録予定のピアソラ作曲のタンゴ曲の数々で、第1ソロを務めるルードウィッヒ・クワントの言葉によると「楽しい『レヴィラード』から悲しい『ソレダード』、情熱的な『愛のデュオ』、名人芸の『エスクアロ』」など、いずれも日本で初めて演奏するものばかりだとか。なお前半はピアソラの音楽遍歴にとって重要な街であるパリに着目し、同時代の作曲家たちに影響を与えたフォーレからシャンソンの名曲「パリの空の下」などを披露し、“花の都”の音楽風景を再現する。オープニングを飾るお馴染みジャン・フランセ「朝のセレナーデ」も楽しみだ。
文:東端哲也
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年4月号から)

7/10(日)14:00 サントリーホール
問:ノア・チケット03-3417-7000
http://www.noah.jpn.com
3/19(土)発売