川瀬賢太郎、上森祥平が『第14回 齋藤秀雄メモリアル基金賞』を受賞〜小澤征爾さんが祝福

 『第14回 齋藤秀雄メモリアル基金賞』の受賞者が決定し、3月1日、都内で贈賞式が行われた。チェリスト・上森祥平と指揮者の川瀬賢太郎が受賞した。
 贈賞式には、受賞者の上森、川瀬、選考委員の小澤征爾と堤剛らが出席した。
(Photo:T.Shiroma/TokyoMDE)

左より)加藤優(公益財団法人ソニー音楽財団 理事長)、堤剛、上森祥平、川瀬賢太郎、小澤征爾、岡路子(同財団 常務理事)
左より)加藤優(公益財団法人ソニー音楽財団 理事長)、堤剛、上森祥平、川瀬賢太郎、小澤征爾、岡路子(同財団 常務理事)

 『齋藤秀雄メモリアル基金賞』は、チェリスト・指揮者・教育者であった故・齋藤秀雄氏に因み、財団法人ソニー音楽芸術振興会(現・公益財団法人ソニー音楽財団)が2002年に創設した賞。音楽文化の発展に貢献し、将来いっそうの活躍が期待される、若手チェリスト、指揮者に贈られる。

 上森祥平は、東京芸術大学卒業。1999年にデビューリサイタルを開き高く評価された。2001年に渡独、ベルリン芸術大学で学び、帰国後は「J.S.バッハ無伴奏組曲全曲演奏会」を毎年行うなど積極的な活動を展開している。

 受賞にあたって上森は、「本当に光栄。大変にお世話になった堤先生からこのような大きな賞をいただくことができて感動している。数多くの素晴らしい先生と出会い教えを請う事ができた。その経験が今の僕の血となり肉となっている。これまで学んだことをどれだけ次の世代に返していけるか考えて活動している。また、関西での音楽文化を盛り上げていきたい」と喜びを述べた。

 選考委員の堤は上森の受賞に際し、「この賞にまことにふさわしい人。上森さんの生き様が齋藤先生とだぶって見えるところがある。また、関西エリアでの活発な演奏活動で音楽界全体に大きな貢献をしており、教育活動においても、いつも感心している。これからの若いチェリストや音楽家にとって素晴らしいモデルだと思う」と言葉を贈った。

 川瀬賢太郎は、東京音楽大学卒業。2006年東京国際音楽コンクール〈指揮〉において第2位(1位なし)入賞。15年渡邉暁雄音楽基金音楽賞受賞。現在、神奈川フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者、名古屋フィルハーモニー交響楽団指揮者、八王子ユース弦楽アンサンブル音楽監督を務める。

 受賞に際し川瀬は、「このような素敵な賞を受賞できたこと嬉しく思う。デビュー当時から各地のオーケストラに根気強く育てていただき、今があると思っている。これを糧にまた明日から、高みを目指してオーケストラのメンバーと共に頑張っていきたいと思っている。まだ、この業界では生かしていただいている立場だが、今後60、70歳で指揮者を続けていられたら、この業界に還元できるものがあれば良いと思う」と喜びを語った。

 選考委員の小澤は、「僕と山本直純さんは齋藤先生にかわいがってもらっていて、齋藤先生にうんと怒られたあと音楽室から出た僕たちを慰めてくれたのが奥様の秀子さんだった。その秀子さんがこのような賞を作ってくれたことは素晴らしいことだと思う。指揮というのは、僕みたいに年をとってくると気づくのだけど、どうすれば指揮者がよくなっていくのかはやってみないとわからない。どんなところでも全力でやらなくてはいけない。川瀬さんはこれからも、若くてエネルギーがあり、チャンスがある。またこの受賞でまたチャンスが増える。そういう事を思ってこの賞を作ったと僕は思う。これを機会にまたジャンプアップするというつもりでやってください。おめでとう。Good luck!」と言葉を贈った。

齋藤秀雄メモリアル基金賞(公益財団法人ソニー音楽財団)
http://www.smf.or.jp/saitohideo/