アートの奥底にある“始原”のパワーを示す

『Dancing with Death』は、タイ北東部のルーイ県で開催されているピーターコーン・フェスティバルからのインスピレーションを具現化したものだという。精霊を模した鮮烈な色使いの被り物&衣裳を身にまとい、住人が一体となって歌い踊る。人と精霊が混ざりあう、本来の祭りの姿だ。
クランチェンはトレイラー映像の中で「体系だった理論や訓練もないのに、こんなに素晴らしいアートの数々が生まれてくるのはなぜか」と語る。じつはそれこそがアートを生み出す神秘であり、アートが人間に不可欠なものである由縁だ。アートの奥底にある始原のパワーを、本作で見せてくれるだろう。
クランチェンは映像の中で、こうも言っている。
「タイトルは『美、人生、死と踊る』となるだろう」
今回のタイトルは「死」だけだ。美と人生はこれから作られて三部作となるのか、今作でその二つを内包した「死」を描くのか。世界初演を、心して待ちたい。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年2月号から)
2/7(日)14:00、2/8(月)18:00 KAAT神奈川芸術劇場 ホール
問 TPAM(国際舞台芸術ミーティング in 横浜) 事務局03-5724-4660
http://www.tpam.or.jp