マリン・オルソップが開幕公演に登場
新日本フィルハーモニー交響楽団が8月15日、2027-2028シーズン(27年4月〜28年3月)の定期演奏会プログラムを発表した。例年、本拠地すみだトリフォニーホールとサントリーホールで開催されてきたが、サントリーホールの改修期間である4〜7月の公演は東京オペラシティ コンサートホールに場所を移し、〈オペラシティ・サントリーホール・シリーズ〉として行われる。

音楽監督就任5シーズン目となる佐渡裕は、5演目10公演に登場。軸としてきた「ウィーン・ライン」をさらに深化させつつ、さまざまなレパートリーを組み込んでいる。とりわけ、28年1月のプログラム、マーラーの「子供の不思議な角笛」からの抜粋と交響曲第5番は、これまでの楽団との積み重ねをさらに深める公演となるだろう。言葉とフレージングを自在に操るリート歌手、ベンヤミン・アップルとの共演によって浮かび上がる歌曲の世界と、起伏の激しい全5楽章の大作交響曲をどう対照させるのか、聴き応え十分のステージとなる。そのほか、ベートーヴェンから武満作品まで、さまざまな方向性の作品が取り上げられるが、「すみだクラシックへの扉」シリーズでは、レスピーギのローマ三部作や、イベール、ラヴェルなどのフランス作品で、色彩感ゆたかな管弦楽サウンドも味わえる。

客演指揮者陣も魅力的な顔ぶれ。何と言っても、開幕を飾るのがマリン・オルソップであることは、最大の話題だろう。バーンスタインに師事し、交響曲だけでなく、宗教曲やミュージカル作品に至るまで多くの作品の録音もあるオルソップによる、師の交響曲第1番「エレミア」を聴けるのが嬉しい。マーラーはバーンスタインも得意としたレパートリーだが、交響曲第1番「巨人」では、明晰なタクトで推進力みなぎるクライマックスを構築してくれそうだ。

もうひとつの注目は、ジョナサン・ノットの登場(28年3月)。2024年のサマーミューザでの初共演(マーラー:交響曲第7番)は話題を呼んだが、定期演奏会への初登壇となる今回は、実質的にはピアノ協奏曲であるシマノフスキの交響曲第4番(ピアノ:北村朋幹)に、ツェムリンスキーの交響詩「人魚姫」と、いかにもノットらしいセレクション。20世紀初頭の濃密な響き、複雑なテクスチュアをじっくりと聴かせる。
そのほか、前音楽監督・上岡敏之によるオール・ベートーヴェン(9月)、昨年、ロシアもので楽団との相性の良さをみせたアンドレイ・ボレイコの再登場(11月)も予定されている。

名曲を中心としたプログラムに、幅広い世代・個性の出演者が揃う「すみだクラシックへの扉」シリーズには、2003年生まれのフィンランドの指揮者ミカエル・ロポネンや、2005年生まれの若き逸材、アルマ・ドイチャーなどフレッシュな顔ぶれも登場。オーギュスタン・デュメイの弾き振りによるモーツァルトも楽しみだ。ソリストには、グザヴィエ・ドゥ・メストレ(ハープ)、葉加瀬太郎(ヴァイオリン)、神尾真由子(ヴァイオリン)、上野耕平(サクソフォン)、宮田大(チェロ)、アレクサンダー・ガジェヴ(ピアノ)ら、多彩な奏者が名を連ねる。
佐渡裕とのさらなる深化を軸に、オルソップ、ノット、ボレイコら個性の異なる指揮者たちを迎え、幅広いレパートリーを展開する2027-2028シーズン。新日本フィルがそれぞれのプログラムでどんな持ち味を引き出していくのか、楽しみな一年となりそうだ。
新日本フィルハーモニー交響楽団
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