里見暁美は邦人ピアノ創作の最前線を伴走したピアニスト。本盤は彼女が1981年に出したLPアルバムの復刻で、素材を限定し反復するミニマリズムを個性的に消化した4作を収録する。松平頼暁「エリクサトーン」(電子ピアノによる多重録音)「セレブレーション」は隠れた物語や献呈者名の記号化に基づいて設計されているが、その疾走感、車窓の風景のように素早く切り替わるテクスチュアが心地よい。藤枝守のプリペアド・ピアノのための「フォーリング・スケール第6番」「虹の共振I」は逆にゆったりとしたテンポ上でベースとなるパターンに装飾やずれが淡々と重ねられていく。瞑想を誘う音楽だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2026年9月号より)
【information】
CD『ピアノホライズン[1981]/里見暁美』
松平頼暁:エリクサトーン、セレブレーション/藤枝守:フォーリング・スケール第6番、虹の共振I
里見暁美(ピアノ/キーボード)
コジマ録音
ALM-24 ¥2750(税込)



