【CD】Sei Solo J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ/岡本誠司

2014年バッハ国際コンクールのアジア人初優勝ほか受賞歴も多い実力者が、ゆかりのコンクールから約10年を経て世に問う聖典全曲集。長年の取り組みと様々な歴史的探求を踏まえながら、研ぎ澄まされた技巧と瑞々しい感性を生かして奏でた、傾聴すべきアルバムである。全て考え抜かれた演奏だが、特に感心させられるのは音楽の自然な運び(約13分で一気に奏される「シャコンヌ」はその好例)と類い稀な柔軟性。パルティータ各曲の舞曲的な弾みには心躍らされるし、強弱が細やかなソナタ第2番の終楽章等も素晴らしい。若き名手の現時点での最上の記録。

文:柴田克彦

(ぶらあぼ2026年9月号より)

【information】
CD『Sei Solo J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ/岡本誠司』

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番〜第3番、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番〜第3番

岡本誠司(ヴァイオリン)

NOVA Records
NR-02601(2枚組) ¥4400(税込)


柴田克彦 Katsuhiko Shibata

福岡県生まれ。音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。雑誌、コンサート・プログラム、Web、宣伝媒体、CDブックレットへの、取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に『山本直純と小澤征爾』(朝日新書)、 『1曲1分でわかる! 吹奏楽編曲されているクラシック名曲集』(音楽之友社)。