演奏と作曲の二刀流・秋山友貴(ピアノ)がたどる、バッハから現代への系譜

©Mai TOYAMA

 東京藝大で野平一郎に作曲を師事し、渡仏後はパリ国立高等音楽院、スコラ・カントルム音楽院でピアノを学んだ秋山友貴。パリのアンサンブル・アンテルコンタンポランに客演し、昨年からはミュライユらが1973年に結成したアンサンブル・イティネレールの正式メンバーとなるなど、フランスを拠点にピアニストとして活動しつつ作曲も手掛ける二刀流の新鋭が、「B→C」に待望の登場となる。

 バッハの「半音階的幻想曲とフーガ」「フーガの技法」抜粋など名作に加えて、バッハの素材を用いたトーマス・ヴァリーの「クロマティック・ループ・ファンタジー」、夏田昌和の「BACHの名によるパッサカリア」などが取り上げられる。さらにF.クープランの引用を含む秋山作曲のサクソフォンとピアノのための「Fioritura I」、シューマンの〈夕べの歌〉をほぼそのまま用いた、ステーファノ・ジェルヴァゾーニのエレクトロニクスを伴う「未だ見ぬ夕べの光」など、過去と現代のつながりを意識した選曲の妙味が光る。若手の小野田健太への委嘱新作も楽しみだ。次代を担う秋山による知的好奇心に満ちた旅路にぜひ同行したい。

文:伊藤制子

(ぶらあぼ2026年9月号より)

東京オペラシティ B→C 秋山友貴(ピアノ)
2026.9/15(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
https://www.operacity.jp


伊藤制子 Seiko Ito(音楽学・音楽評論)

東京藝大、同大大学院修了。現在、東邦音大・同大学院、静岡文化芸大、日大講師。日仏の20世紀以後の音楽、音楽美学を研究するかたわら、音楽評論、海外オペラ取材なども行う。2017年のモンテヴェルディ生誕450年イヤーにヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場のモンテヴェルディ三部作の上演を取材。音楽以外のライフワークは旅と俳句。奈良、ヴェネツィアなどで史跡を探索するのが趣味。