
下段左より:バンジャマン・アラール ©Bernard Martinez/小林研一郎 ©山本倫子/木嶋真優 ©Kazumi Kurigami/齊藤健太 ©Ayane Shindo/黒岩航紀 ©Makito Ishikawa
古都の秋を彩る「京都の秋 音楽祭」が、今年も京都コンサートホールを舞台に開催される。第30回の節目を迎え、一段と充実したラインナップとなった。9月12日から11月28日にかけて開かれる全21公演から、注目公演を挙げたい。
9月12日、音楽祭の幕開けを飾るのは「第30回 京都の秋 音楽祭 開会記念コンサート」(完売)。園田隆一郎指揮京都市交響楽団により、マーラーの交響曲第2番「復活」が演奏される。節目の年にふさわしい記念碑的な大作とあって、人気を集めることはまちがいない。一般公募の市民約200名による合唱団、「京都の秋 音楽祭」30回記念市民合唱団が共演する。独唱陣はソプラノの船越亜弥、メゾソプラノの八木寿子。大編成のオーケストラと声楽陣が一体となって、絶望から再生へと至る壮大な音のドラマを築きあげる。
9月13日の「第15回 関西の音楽大学オーケストラ・フェスティバル IN 京都コンサートホール」は、関西の8大学が参加する年に一度のフェスティバル。阪哲朗の指揮のもと、次代を担う若者たちが集結し、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」「選ばれし乙女」、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」、バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲からなるフランス音楽プログラムを披露する。カンタータ「選ばれし乙女」の独唱はオーディションで選抜されたソプラノの中野未唯とメゾソプラノの近藤柚奈(ともに京都市立芸大)。ちなみに指揮の阪哲朗は京都市立芸大の出身。参加大学の卒業生を指揮に迎えるのは今回が初となる。
古楽の分野で旋風を巻き起こすフランスの鍵盤楽器奏者バンジャマン・アラールは、2公演にわたって出演し、チェンバロとオルガンを演奏する。現在、バッハの鍵盤作品全集録音という一大プロジェクトに取り組むアラールにふさわしく、両公演ともオール・バッハ・プログラムが組まれた。10月17日のチェンバロ・リサイタル(完売)では、「イタリア協奏曲」や「フランス風序曲」といったソロの名曲に加えて、国内外で活躍する古楽奏者を迎えて「ブランデンブルク協奏曲第5番」他を演奏。10月24日の「オムロン パイプオルガン コンサートシリーズ Vol.78」では「シュープラー・コラール集」や有名な「トッカータとフーガ ニ短調」など、多彩な作品がとりあげられる。
「京都コンサートホール × 京都市交響楽団プロジェクト」のシリーズ7回目として11月8日に開催されるのが、「京響創立70周年記念 小林研一郎 × 京響」。第8代常任指揮者を務めた小林研一郎が、約9年ぶりに京響の指揮台に帰ってくる。曲はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と、ドヴォルザークの交響曲第8番。チャイコフスキーでは小林の信頼の厚い木嶋真優がソリストを務める。今なお情熱あふれるマエストロが京都に熱風を吹き込む。
11月20日の「京都北山マチネ・シリーズ Vol.27」は「世界が認めたサクソフォーン、究極の響き」と題して、サクソフォーンの齊藤健太とピアノの黒岩航紀を招く。齊藤は第7回アドルフ・サックス国際コンクールで第1位を獲得した気鋭。実力者、黒岩とともに、ドビュッシーの「サクソフォーンのための狂詩曲」ほか、フランス音楽を中心としたプログラムを組む。サクソフォーンならではの豊かな表現力を発揮してくれることだろう。
これらの公演に加えて、京響のプロコフィエフ交響曲全曲演奏会の最終回(11/28、指揮:沖澤のどか)や定期演奏会など、話題性に富んだ公演が数多く予定されている。秋の京都の楽しみは尽きない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2026年9月号より)
第30回 京都の秋 音楽祭
2026.9/12(土)~11/28(土) 京都コンサートホール
問 京都コンサートホール075-711-3231
https://www.kyotoconcerthall.org/autumnkyotomusicfestival30th/
※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

飯尾洋一 Yoichi Iio
音楽ジャーナリスト。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『マンガで教養 やさしいクラシック』監修(朝日新聞出版)他。音楽誌やプログラムノートに寄稿するほか、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど、放送の分野でも活動する。ブログ発信中 https://www.classicajapan.com/wn/


