山下愛陽(かなひ)はギタリスト山下和仁を父に持つサラブレッド。夜想をテーマに古今東西の名曲を集めた本盤では、抒情的な気分から不気味な蠢きまで、夜の様々な顔をすでに完成されたテクニックで克明に描ききる。ポルタメントを効かせながら旋律を魅力的に演出する力、音楽を多声的に組み立てていく力、厚く、薄くとサウンドを自在に変化させる力、肉感的なつま弾き、躍動するトレモロ――多彩な表現が楽曲ごとに繰り出される。ダウランドに始まり、後半にはダウランドに基づくブリテンの大作を置いてシンメトリカルに構成。この大作の奥深さを、ツボを押さえ音にしていくパレットの広がりに感嘆。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2026年9月号より)
【information】
CD『夜想の旅/山下愛陽』
ダウランド:夢想、涙のパヴァーヌ/ソル:奇想曲「静けさ」/マルタン:ギターのための4つの小品/ブリテン:ダウランドによるノクターナル「来たれ、深き眠りよ」によるリフレクション/ハウグ:暁 他
山下愛陽(ギター)
note one/東京エムプラス
NO 26006 ¥オープン価格



