
下段左より:昨年のメインコンサート ©サラダ音楽祭実行委員会/川瀬賢太郎 ©Tomoko Hidaki
2018年の開始以来、東京芸術劇場を中心とする池袋エリアで毎年行われ、年齢を問わず幅広い層から熱い支持を集める「サラダ音楽祭」。そのメインプログラムが、今年は9月の11日から13日にかけて開催される。朝から夕方までの盛りだくさんの催しのなかでも中心となるのが、11日の19時から東京芸術劇場 コンサートホールで行われる「音楽祭メインコンサート《Boléro》」だ。
サラダ音楽祭のサラダ=SaLaDの由来は、「Sing and Listen and Dance〜歌う!聴く!踊る!」。メインコンサートもこれをコンセプトに、オーケストラだけの作品、新国立劇場合唱団が加わる声楽作品、Noism Company Niigataが東京都交響楽団の演奏に合わせて踊るダンス作品と、3つの形態で構成される。
さまざまに感じる“歌”の力
最初はノルウェーの作曲家グリーグの組曲「ホルベアの時代より」。ノルウェー生まれで「デンマーク文学の父」と讃えられる作家ルズヴィ・ホルベアの生誕200年を記念して書かれた作品で、ホルベアと同時代のバロック音楽の組曲のスタイルを意識した、5曲からなる軽快な弦楽合奏曲だ。バロック時代の組曲というのはバッハにも見られるように、サラバンドやガヴォットとミュゼット、リゴドンといった舞曲を組み合わせているから、弦楽合奏だけでも「踊り」の要素が入ってくる。さらに第4曲は「アリア」と題されているから、当然「歌う」を意識することになる。つまり弦楽だけのこの作品が、演奏会全体を予告することになるのだ。
続いては新国立劇場合唱団とともに、1945年生まれのイギリスの作曲家、ジョン・ラターの「グローリア」が演奏される。1974年の作品で、宗教的な声楽曲を得意とするラター初期の代表作である。合唱は平易で、金管が華麗に活躍する輝かしい作品だ。このコンサートでは2024年にもラターの「マニフィカト」を取りあげて好評を博しただけに、今回も人の声と歌の魅力を味わわせてくれることだろう。
おなじみ、圧巻の「ボレロ」も!
そのあとは、20世紀フランスの作曲家ラヴェルの作品を2曲、ダンスを交えて演奏する。Noism Company Niigataは、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館を拠点とする日本初の公共劇場専属の舞踊団で、毎年のサラダ音楽祭の「踊る!」を代表する存在となっている。
まず「マ・メール・ロワ」は、シャルル・ペローの童話集(日本では英語風の『マザー・グース』の題で親しまれている)をタイトルに、それ以外の童話も題材にした5曲の組曲。ラヴェルの夢幻的で魔法のようなオーケストレーションの響きに、今回は一部の曲でダンスが加わる。
そしておしまいは、コンサートのタイトルとなっている「ボレロ」。同じ音型をくり返すうちに、オーケストレーションの妙によって次第に高潮、最後は生命の奔流となるこの作品、メインコンサートでは2024年から3年連続で取りあげられ、すっかり定番となっている。今年もNoismが、躍動する肉体の美しさを楽しませてくれるだろう。
なお、指揮をするのは梅田俊明。実績十分のベテランだけに、声楽入りもダンスつきも、それぞれの特性を活かした演奏を聴かせてくれることだろう。
今年はさらに、0歳から入場できる「OK!オーケストラ」が川瀬賢太郎の指揮で3公演あるほか、さまざまな催しにも都響のメンバーが参加する予定となっている。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ2026年9月号より)
サラダ音楽祭 メインプログラム
2026.9/11(金)~9/13(日) 東京芸術劇場、池袋エリア
音楽祭メインコンサート《Boléro》
9/11(金)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問 サラダ音楽祭事務局03-6704-9342
https://salad-music-fes.com
※フェスティバルの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

山崎浩太郎 Kotaro Yamazaki
1963年東京生まれ。演奏家の活動と録音をその生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書は『演奏史譚1954/55』『クラシック・ヒストリカル108』(以上アルファベータ)、片山杜秀さんとの『平成音楽史』(アルテスパブリッシング)ほか。
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