デビューしてから一貫してフランス近代ピアノ音楽を主なレパートリーとして活動し、今年96歳を迎えたピアニストの井上二葉。フランス音楽のもつ香りや色、そしてその時代を音によって伝えることのできる稀有な奏者である。本盤は彼女の2002~2008年のライブ録音が収められたもので、選曲、演奏ともに井上のこだわりが感じられる。ラドミローやサマズイユの作品での音色の透明感と細やかなニュアンス、そしてダニエル=ルスュールのエチュードでの精緻な技術の冴えなど、井上のピアニズム、フランス音楽の本質を伝える音楽性が詰まったアルバムとなっている。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2026年10月号より)
【information】
CD『フランスのピアノ曲 近代の華やぎII 井上二葉の演奏記録』
デュカス:アラベスク第2番、ロマンス/サマズイユ:三つの小さなインヴェンション、夜想曲 ガブリエル・フォーレの追憶に/ダニエル=ルスュール:三つのエチュード/ラドミロー:四つのスケッチ
井上二葉(ピアノ)
収録:2002年4月、浜離宮朝日ホール 他(ライブ)
ナミ・レコード
WWCC-8051 ¥3300(税込)

長井進之介 Shinnosuke Nagai
国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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