没後10年 冨田勲の大作「源氏物語幻想交響絵巻」を再演! 藤岡幸夫&東京シティ・フィルが蘇らせる壮大なトミタ・ワールド

左:藤岡幸夫 ©Shin Yamagishi
右:坂田美子

 シンセサイザーのパイオニアとして世界的に活躍した作曲家・冨田勲が、晩年に取り組んだ「源氏物語幻想交響絵巻」。1998年の初演以降も2014年まで改訂を重ねながら粘り強く完成させた一時間半に及ぶ大作だ。ライフワークと呼ぶにふさわしいこの壮大な音楽を、没後10年の節目に藤岡幸夫指揮・東京シティ・フィルが再演する。

 宮廷に生きる人々の愛と別れ、栄華と無常を22の楽曲が一幅の絵巻物のように描き出す。色彩豊かなオーケストラの上に、琵琶(坂田美子、久保田晶子)、二十五絃箏(滝田美智子)、能管・篠笛(西川浩平)、篳篥(稲葉明徳、中村華子)、笙(中村華子)といった和楽器が雅な宮廷文化を蘇らせる。一方でミュージック・コンクレート(シンセサイザー:氏家克典)が現代的な幻想空間も創出。琵琶の坂田美子は京ことばによる朗読と歌も披露するが、その柔らかな声が古典文学の気品を保ちつつ聴き手を平安時代へとタイムスリップさせる。

 藤岡幸夫は作品の真価を早くから見出し、冨田のアドバイスを受けながら録音まで行った、この作品を最も深く理解する指揮者。今回の出演陣にはこの録音に参加したメンバーも多く、キャスティングも理想的だ。冨田は生前、自分の創作は録音媒体に乗せるのが前提で、再演可能な作品が限られていると語っていた。コンサートホールで聴ける貴重な“トミタ・ワールド”、そしてオーケストラに和楽器、音響テクノロジー、朗読や歌が混然一体となって繰り広げられる独自の“幻想交響絵巻”をお見逃しなく!

文:江藤光紀

(ぶらあぼ2026年9月号より)

藤岡幸夫(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第389回 定期演奏会
2026.12/3(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
https://www.cityphil.jp