
右:三浦文彰 ©Yuji Hori
ピアノの辻井伸行、指揮とヴァイオリンの三浦文彰が共にアーティスティック・リーダーを務める、「ARKクラシックス」が秋のサントリーホールにて開催される。なかでも年々注目が高まっているのが、三浦文彰の指揮による、トッププレイヤーたちが集結するARKフィルハーモニックの演奏会である。
これまでロマン派以前の演目が中心だったARKフィルが、今年はオール・ショスタコーヴィチのプログラムを用意。昨年没後50年、今年生誕120年とアニバーサリーが続く20世紀ソヴィエトの大作曲家に、このタイミングで挑む意義は大きい。
オーケストラが奏でるのは、華やかな「祝典序曲」と最も演奏機会の多い「交響曲第5番」という人気作。この2作の豪壮なサウンドは格別で、「第5番」はシリアスな要素や複雑な背景の捉え方で印象が変わる大作でもあり、三浦が名人の集うARKフィルをどう導くのか期待したい。
さらに楽しみなのが辻井の弾くピアノ協奏曲第2番。邪気のないメロディやユーモア、純美にあふれた緩徐楽章など、万人が楽しめる快作だ。筆者は辻井の弾くショスタコーヴィチの2曲の協奏曲を体験したが、シニカルな第1番を弾く姿は心から楽しそうだったし、第2番の音楽も彼のイメージに合い、純度の高い快演を聴かせていた。機転がきいて冗談も好きな辻井のキャラクターとショスタコーヴィチのピアノ協奏曲は相性がよい。気心知れた三浦との共演で、思わず笑顔が浮かぶような第2番になりそうだ。
文:林 昌英
ARK PHILHARMONIC 1 《ショスタコーヴィチ》
辻井伸行 三浦文彰 ARKフィルハーモニック
2026.10/3(土)17:00 サントリーホール
問 チケットスペース03-3234-9999 / サントリーホールチケットセンター0570-55-0017
https://avex.jp/classics/arkclassics2026/

林 昌英 Masahide Hayashi
出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。
