フィンランドの鬼才、オリ・ムストネンが指揮・ピアノ・作曲の三刀流で新日本フィルに登場!

オリ・ムストネン ©Laura Malmivaara

 オリ・ムストネンといえば、個性的な解釈が際立った鬼才ピアニストとして、我々の前に現れた。ややあって、タピオラ・シンフォニエッタやヘルシンキ・フィルなど、オーケストラの指揮者としても活動していることも知った。さらに、そうした演奏会で、自ら作曲した作品を披露することもしばしばあることも。

 ピアニスト、指揮者、作曲家としてのムストネン。10月の新日本フィルの公演では、そんな多才な彼の魅力をまるっと堪能できるプログラムを組む。

 最初に演奏されるのは、作曲家ムストネンによる「トリプティーク」。原曲は、チェロを愛した妻を亡くしたアメリカの物理学者へ捧げられたチェロ三重奏曲で、今回は弦楽オーケストラ版で演奏される。神秘的な音楽から、病との闘いへ。そして、法悦の結末へと向かう3つの楽章からなる音楽だ。

 次は、ピアニストとして、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を弾き振りする。この作曲家の作品を長らく得意としてきたムストネンが、立体的かつ意表を突くようなバランスから、新鮮極まりない魅力を引き出してくれるはずだ。

 そして、最後はメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。彼の指揮者としての力量を心置きなく堪能できる。ピアノを弾くときと同様に、オーケストラ・バランスに丹念に工夫を凝らすムストネン。一見してシンプルに響くこの曲に、綿密な構造があることを明瞭に聴かせてくれるだろう。

文:鈴木淳史

(ぶらあぼ2026年9月号より)

オリ・ムストネン(指揮/ピアノ) 新日本フィルハーモニー交響楽団 第673回 定期演奏会
〈トリフォニーホール・シリーズ〉
2026.10/17(土)14:00 すみだトリフォニーホール

〈サントリーホール・シリーズ〉 10/18(日)14:00 サントリーホール
問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815

https://www.njp.or.jp


鈴木淳史 Atsufumi Suzuki

雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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