
左:板倉康明 右:斎藤和志
30年以上にわたり、日本の現代音楽シーンで重要な役割を担ってきた東京シンフォニエッタ。59回目となる7月10日の定期演奏会(サントリーホール ブルーローズ)では「ルカ・フランチェスコーニの周縁」と題して、代表・音楽監督の板倉康明のもと、イタリアの作曲家、フランチェスコーニ(1956〜)の作品を取り上げるとともに、彼が影響を受けたルチアーノ・ベリオの「セクエンツァ 1」とカールハインツ・シュトックハウゼンの「クロイツシュピール」を演奏する。
板倉「フランチェスコーニは今年の『サントリーホール サマーフェスティバル』でも特集されます。せっかくの機会なので、『サマーフェスティバル』では演奏されない作品を東京シンフォニエッタが取り上げて、お客様が彼の音楽についてより深く知るための有機的な繋がりを持った企画を考えました。『ダ・カーポ』はフランチェスコーニの代表作のひとつともいえる規模の大きな室内楽作品で、『再び、ダ・カーポII』はその続編です。『アリア ノヴェッラ』も彼のスタイルを知るのにふさわしい作品ですので、『サマーフェスティバル』の前奏曲として、これらの作品をお聴きいただきます。
今日の現代音楽は、知的に突き詰めたものと、聴衆と自然に共有できるものとで二極化していますが、フランチェスコーニの音楽は後者にあたります。彼がアシスタントを務めたベリオもそのような作曲家でした。フランチェスコーニが敬愛するベリオとシュトックハウゼンの作品を併せて聴くことで、彼らからの影響がどれくらいあるのかを知ることができるでしょう。世代を超えたエコーに、どうか耳を傾けていただきたいと思います」
フランチェスコーニの作品とともに、この演奏会の目玉となるのが、同団の副代表でフルート奏者の斎藤和志による「セクエンツァ 1」の新旧版聴き比べだ。
斎藤「1958年に書かれた初稿は、初演後、フルートの重要なレパートリーとして定着していきましたが、解釈の余地を残した自由な記譜もあって、次第にベリオのイメージから逸脱した演奏も増えていきました。そこで彼はより厳格な記譜法を用いて『セクエンツァ 1』を改訂し、自らの意図をはっきりと記録することにしたのです。それが1992年版です。身体性のある旧版と知性的な新版をひとりのフルーティストの演奏で聴き比べる機会はめったにないので、耳を澄ませて、両者の違いを楽しんでください」
取材・文:八木宏之
(ぶらあぼ2026年7月号より)
東京シンフォニエッタ 第59回 定期演奏会「ルカ・フランチェスコーニの周縁」
サントリーホール開館40周年記念 参加公演
2026.7/10(金)19:00 サントリーホール ブルーローズ(小)
問:AMATI 03-3560-3010
https://www.amati-tokyo.com

八木宏之 Hiroyuki Yagi
青山学院大学文学部史学科芸術史コース卒。愛知県立芸術大学大学院音楽研究科博士前期課程(修士:音楽学)およびソルボンヌ大学音楽専門職修士課程(Master 2 Professionnel Médiation de la Musique)修了。
2021年春にWebメディア『FREUDE』を立ち上げ。クラシック音楽を中心にプログラムノートやライナーノーツ、レビュー、エッセイを多数執筆するほか、アーティストへのインタビュー、コンサートのプレトーク、講演会なども積極的に行なっている。
https://freudemedia.com
